マツダから東京モーターショー2015において2つのデザイン習作が出品されている。
ひとつは「RX-VISION」、もうひとつは以前から露出している「KOERU」だ。
この2つのデザインについて考えてみた。
「RX-VISION」の内容
今回東京モーターショー2015で初めて発表された「RX-VISION」は2シータースポーツカーのコンセプトカーだ。
気になるそのスペックをチラッと見てみよう。
「RX-VISION」のスペック
乗車定員:2名
サイズ:全長4,389mm×全幅1,925mm×全高1,160mm
ホイールベース:2,700mm
エンジン:SKYACTIV-R
駆動方式:FR
タイヤホイール:前245/40R20 9.5J、後285/35R20 11J
気になるポイント
デザインを見る前にスペックで気になるところを上げてみよう。
まずボディーサイズだがこのままでもあり得るサイズのギリギリ上限くらいと思う。
特に車幅はヨーロッパでのハイパフォーマンスカーに比較するとありかもしれない大きさだ。
次にエンジンだがSKYACTIV-Rとある。
これは初めて出てきた言葉だがマツダによるとローターリーを表しているらしい。
今さらガソリンでのロータリーという訳ではないだろうから他の方式だろうと思う。
有力視されているのが水素だということだ。
これは提携中のトヨタがミライで水素ボンベ技術を既に持っている事を考えると非常に現実的なのかもしれない。
「RX-VISION」のデザイン
コンセプトカーだけに割り引いて考える必要があるという前提である。
ハッキリ言ってあまり注目ポイントが無いデザインだ。
全体の傾向は懐古主義でメルセデスのAMG GTと同じシルエットを取る。
つまりロングノーズに小さな後退したキャビンという形式だ。
全体に丸みを帯びているところもそういった印象を助長するものだ。
このままは出てこない「RX-VISION」
細部を良く見るとフロントリアともタイヤホイールがストロークするとは考えにくい造形となっている。
「RX-VISION」現実的ではない作りなのだ。
このまま発売されることは無いだろう。
極端にキャラクターラインが少ないボディーで抑揚を全て面で作っている。
そのため特にサイドは全くメリハリが無い。
「RX-VISION」は全体的には良くまとまっている
細かいところはイロイロあるが「RX-VISION」は全体的には良くまとまった無難なデザインだ。
そしてこうしたロングノーズでショートキャビンな車と言うのはユーザーにとってスポーツカーだという刷り込みがある。
だからスポーティーイメージを強調するには最適なデザインなのだ。
このまま実際の車になることは無いと思うが積まれるユニットも気になる。
それにこのデザインと同じとは言わないがこうした雰囲気のデザインの車には非常に興味がある。
「RX-VISION」はスポーツカー好きなら一度は乗ってみたいシルエットなのだ。
「KOERU」
もう「KOERU」についてはなんじゃこれというデザインだと思う。
「KOERU」がマツダのこれからのデザインコンセプトとなるのなら全く面白くない。
サイドの様子なんかはCX-3が大きくなったようにしか見えず余計に間延びして見える。
ボディー前後は今時のマツダの顔とお尻を引っ付けただけのようで見るべきところは無い。
そもそも「KOERU」はSUVというかクロスオーバーとして企画されているのだろうがクロスオーバーらしくないのだ。
これなら車高を下げてワゴンボディーにすべきデザインではないだろうか。
クロスオーバーらしい溌剌としたウキウキ感が全く感じられない。
最近のマツダデザイン
最近のマツダはデザインに力を入れているのは分かる。
マツダのデザイナーが頻繁に登場してその少々わかりにくいコンセプトを語る。
デザインを語ってくれるのは勝手だがそのデザインが何か感じさせてくれるかどうかが問題だろう。
語っている内容もつまらないモノが多い。
この手法はヨーロッパの自動車メーカーが良くやっている手法だ。
鼓動デザインのロードスターまでは量感がありダイナミックな印象の中身の詰まったデザインだった。
しかしこれも鼓動デザインだと思うがCX-3あたりからこの「KOERU」風になっている。
それを見ているだけに今回の「KOERU」には目新しさは無いし見るべきところも無い。
それにマツダはデザインコンセプトをコロコロと変えすぎる。
少し前には鼓動で世界中に情報発信したと思ったら今度は「KOERU」だ。
デザインにはもう少しじっくりと取り組むという事が必要なのではないだろうか。
ユーザー側ではまだ鼓動が消化しきれていないのだ。
マツダはここを見失っているところがあると思う。
今回はこのへんで
では