VWのEA189エンジン排ガス不正問題に思う:その13、アメリカでのVWが落ち込みの少ない訳

前回はVW社内での内部告発の件を書いた。これで少しでも自浄作用が機能すれば良いのだが・・・。
一方VW車の2015年10月の販売台数について日本は1/2お隣の韓国は1/3となった事も書いた。
こういった流れが世界のトレンドなのかと思っていたら好調な国もあるのだ。
VWロゴ

アメリカでの販売台数はどうなった?

今回のVW排ガス不正問題の発祥の地アメリカでは驚くなかれ好調なのだ。
2015年9月は0.56%増、2015年10月は0.24%増という結果になっているのだった。

もちろんこの裏にはキャンペーンが打たれてユーザーに対しての手厚い金銭的サービスがあるのだ。
一説によると2,000ドル(約25万円)のキャッシュバックだったり、4,200ドル(約52万円)の値引きがあったりする。
対象の車種や条件がハッキリしないが非常に大きな金額だと思う。
こうした実弾飛び交う空中戦を行った結果が販売台数微増という結果になっているのだ。

アメリカのユーザーはこうした実質値引きがあればブランドの信頼が失墜している車を買ってしまうのだろうか?
VW車に乗っているというイメージや何年か先の売却時の事は気にしないのだろうか。
実際どうなのか知りたいものだ。

たぶんヨーロッパでも同じことが起きているのだろうと容易に想像できる。

一部のメディアに日本での販売台数の落ち込みが神経質すぎると書かれている。
それはこうした実弾が飛び交う空中戦が始まっていないからだろう。
ユーザーはやはりお金とブランド力を天秤にかけているのだ。
つまり現在では安価じゃないとVW車は買う価値が無いという事だ。

これらの原資がどこから出ているのか?

こういったアメリカにおける販売値引きの原資は当然VW本体から出ているのだろう。
リコール対策費や訴訟に関する費用、それに加えてこうした営業上の費用が新たに積み上がっているということだ。

当然これらの支出が早かれ遅かれ経営面を圧迫するのは間違いないだろう。
例えばVWの北米での1ヶ月の販売台数を3万台としてみる。それに1台当たりの値引きが30万円だとする。
計算すると1ヶ月で90億円が必要になる。
この計算には全く根拠が無く管理人TomTomの勝手な推測だけなのでご了承いただきたい。

この先、販売台数が落ち込むだろうと思われる国に対してこうした策を取っていくのではないだろうか。
そのうちに日本でもこうした動きが始まるかもしれない、いやもう水面下で始まっているのかもしれない。

短期的なカンフル剤

こうした実弾飛び交う販売方式は費用がかさみ経営を圧迫するのは間違いない。
それに一時的に持ち直したとしても息切れする時が必ず来る。
この時が怖いと思うのだ。

NOxではなくCO2不正のその後

VW排ガス不正問題は今やディーゼルだけの事では無くガソリンエンジンも数値にごまかしがあった。
この対象がヨーロッパで80万台あるのだ。

対象車のブランドはVW、アウディ、セアト、シュコダ、VW商用車が入っている。
すでにVWグループ全体に波及していて残すところ高級車のポルシェ、ベントレー、ランボルギーニあたりは大丈夫なのだろうか。
まぁこれらの車は元々燃費が悪くてCO2も多いだろうからそれほど影響が無いのだろうか。
ここは今のところ未知数なので今後の情報を待ちたいと思う。

今回はこのへんで
では