最近ではトヨタやスバルが全日本ラリーで走るチームにディーラーメカニックを参加させている。
こうした一般のディーラーメカニック派遣の動きは今まではあまりないことだったと記憶している。
走っているチームにとっては素人ではないがラリーメカニックの経験のない人を受け入れるわけだからシビアな状況だ。
しかも優勝争いをしているようなチームだとなおさらだろう。
そういった意味では自動車メーカーの肝いりでないと成り立たない仕組みだろうと思う。
こうしてディーラーメカニックをラリー実戦の場に投入するのはどういった意味があるのだろうか。
ココで書いていることは管理人の個人的な意見であることをご了承いただきたい。
管理人が持っているディーラーメカニックの印象
管理人TomTomが感じているディーラーメカニックの印象はあまり良くない。
10年くらい前まではレベルの差が大きかった。
イケてる人はかなりイケていたが、イケてない人は全くダメだった。
イケてるメカニックは技術的な事はもちろんだが、その他の知識も豊富にありユーザからの質問にたくさんの引き出しから的確に応えることができていた。
一方、イケてないメカニックは技術面も質問や提案にも満足できる回答が無かった。
さらにやらされている感がヒシヒシと伝わってきて、この人に車を預けて大丈夫?と思ったりしたこともある。
現実に20年くらい前のお話だがディーラーでの車検整備時にスタッドボルトが折れたまま車が返却された事もある(トヨタ系)。
またラジエターステーが折れて返却されたこともある(トヨタ系)。
もっと面白いのは、整備に出して戻ってくるとなぜかメーターが交換されていたこともある(日産系)。
メーターを交換するなんてどういう事態が起こったのだろうか?何か手順を間違えてメーターを壊してしまったのだろうか。
いずれもその原因については説明がなかった(これが一番問題だ)。
本当にディーラーの整備では不思議な事が起こる。
こうした事があるとユーザとしてディーラーメカニックを信頼できない。
それはそれは管理人TomTomにとっても暗黒時代だった。
こうした経験から管理人TomTomはディーラー整備から車が返ってくると各部を自分でチェックする癖がついてしまった。
結局のところ管理人TomTomはディーラーの整備をあまり信用していないのだ。
でもこれは担当人によりかなり差があるのだろうと思う。
そしてチェックする仕組みがなくって仕上がりにバラつきが出るのだろうと思う。
またディーラーメカニックは時間に追われてコスト管理が厳しいという面もあるだろう。
だがサービスを提供するという上ではこれではユーザは満足しない、キチンと整備し、仕上がりをチェックし、主治医のように状況をユーザに説明するという事が求められる。
こうした事をバランスよくこなせるディーラーメカニックが少ないのだろうと思う。
ディーラーの運営体制の問題もあると思う
管理人TomTomが感じるのはディーラーにより利益管理やコスト管理にかなり差があるということだ。
コスト管理に厳しいディーラーでは整備に掛ける時間も短くなるしユーザに説明する時間を端折ったりする。
これ自体は何も悪いことではない。
ただ行き過ぎたコスト管理はユーザーにとっても不快だし、ましてや整備がキチンとされていないというのは論外だ。
経営者としてはコストを下げる努力をすることは企業存続のために必要なことだ。
だがサービスを端折るのとコストを下げることのバランスを見なければならない。
ユーザは自分が支払った対価に対するサービスの質をよく見ている。
管理人TomTomも時々この価格でこの内容ならあかんなぁと感じることがある。
ユーザが一度そう思うとそれを回復することは難しい。
それにそのことをハッキリと口に出して言うユーザーもなかなかいないと思う。
だから自動車メーカーは自動車の購入者に対してディーラーの対応ばかりを聞くアンケートをするのだと思う。
最近、管理人TomTomが感じるのはディーラーのこうしたサービスが下限ギリギリになってきていることだ。
コストを下げるというのは分かるのだがユーザーが受ける感覚との差異をキチンと把握する必要があるように思う。
ラリーのメカニックって?
お話しを元に戻そう。
管理人TomTomは若い頃にラリーに参戦していた事は以前書いた。
主にドライバーとして参加していたわけであるが、時にはサービス要員として駆り出される事もある。
ラリーの実戦の際のサービスは限られた時間で競技車両の整備を行わなくてはならない。
時間をオーバーするとペナルティになってしまう。
またサービスで修理することができないとリタイアということになってしまう。
そういう意味ではメカニックには高度なセッティングが可能な緻密さと、時にはハンマーでフェンダーを叩き出すような荒治療も施さなければならない。
さらにラリーの実戦では何が壊れるか?何を修理しなければならない?ということが常に変化する。
競技が進行している間に競技車両にトラブルが起こったり、クラッシュしたりするからだ。
そして、そういったあらゆる事象に規定の時間内に対応しなければならないのがラリーのメカニックだ。
管理人TomTomもチームのお手伝いでメカニックのような事をしたことが何度もある。
本格的な修理や整備をしたわけではないが、タイヤホイールの交換や小さなトラブルの解決をやった。
その時に思ったのが環境の悪さだ。
ラリーは山の中で行われる事が多い、サービスの場所もどこかの駐車場だったり、ダートの広場だったりする。
天候が良い時はまだ良いが、雨が降ったらそれはそれは大変だ。
泥水の中に転がって車の下に潜り込み整備を行う、メカニックは泥水で全身ずぶ濡れだ。
さらに屋外で整備をするにあたって工具が制限されることが多い。
電動やエアーのツールが使えないこともある。
ラリーのメカニックはこうした劣悪な環境の中でもしっかりと整備をしなければならない。
マニュアルか実戦かという事だろうか?
全日本ラリーにディーラーメカニックが投入されるのは基本的に良いことだと思う。
こうした競技での車両整備はディーラでの整備とは目的が異なる。
ラリーの整備では勝つことを目標として競技車を出来る限り完全な状態に持っていこうとする。
そこには競技に勝つためのノウハウがいっぱい詰まっていることだろう。
最終的に結果としてハッキリと何位だったという形で出ることになる。
ディーラーでの整備は基本的にマニュアルに沿った整備だろうと思う(やったこと無いので想像だが)。
もし想定時間で終われないとかという事があったとしても最悪はユーザと協議の余地があるのが大きく異るところだろうか。
ディーラのメカニックが競技に参加してその現場を体験するのは、いつも接している世界とまったく異なる世界を垣間見るということになるのだろう。
もちろんそれぞれに達成すべき目的や手段が異なるし使用する技術も違うことだろう。
きっとお互いが、どうしてこんなことするの?とか、どうしてそんなこと知らないの?とか感じながら現場ではやっているのだろうと思う。
人によりこのあたりの感じ方や吸収の度合いが異なるとは思うが自分が知らないことを学べるのは貴重な機会に違いない。
結局、最後は人ということなのだろう。
こうした経験を日常にフィードバックできるか?できないか?だ。
競技ではスタッドボルトが折れたら放置しない
前述したように管理人TomTomはディーラー整備に出した際にスタッドボルトが折れて返ってきた事がある。
こうした事は競技の世界ではまったく考えられないことだ。
その後の競技の進行に差し支えるし、何よりも安全ではないことが一番いけない。
こと安全に関しては一般車両でも競技車両でも全く変わりはない。
このことは少々昔のことなのでインパクトレンチでナットを締め込んだのだろう。
インパクトレンチでやったとしてもスタッドボルトが折れるとその感触が伝わると思う。
もし、その感触がメカニックに伝わっていたとすればわざとそれをそのままにしておいたということだ。
このケースは大変悪質なケースだろうと思う。
管理人TomTomが感じるに車というのは面白い商品だ。
返品や交換が効かないのだ。
なかなかこういった商品は世の中にないと思う。
もっと高額な不動産でさえ重要事項記載の内容と異なると契約の見直しとなるのにだ。
だから新車でなにか不具合があると徹底的に修理ということになる。
交換の効かない商品だけに購入した後の整備が重要なのは言うまでもない。
ましてやスタッドボルトが折れたまま整備から戻ってくるなんていうことは論外だ。
競技の世界なら折れてなくてもその兆候がつかめたなら即座に交換となる。
そもそもスタッドボルトを締め込むのにインパクトレンチは使用しない。
こうした違いが出るのは最後は個人個人の考え方なのかもしれない。
組織的にマニュアル化や制度化、それにチェック体制を作ったとしてもどうしてもそれをくぐり抜けたり想定外だったりすることは起きる。
そういった際にどう対処すべきか?という事が個々に求められているのだろうと思うのだ。
そしてなにか起こった時のリアクションとスピードが重要だ。
想定外であっても次のステップに進まなくてはならないからだ。
これは車の整備だけのことではなく世の中のすべてのことに言えることだろうと思う。
話がとっ散らかってしまった。
今回はこのへんで
では