クルマで走る人にとってブレーキのチューニングはかなり重要な要素だと思う。
管理人もブレーキには自分なりに気を使っているつもりだが、もう少しなんとかなれば…と思うことも多い。
ブレーキを弄ると言っても人によって千差万別だろう。
そんな事を書いてみた。
見てくれのカッコよさは百害あって一利なし
随分前からキャリパーカバーというパーツが出ている。
それはプラスティック製だったり、金属製だったりイロイロあるみたいだ。
簡単に言うと、ブレーキは運動エネルギーを熱エネルギーに変換する装置となっていて当然熱を発する。
この熱をどう放出して、効率よく冷やすかということが大命題だ。
そこにカバーしてしまうなんて、個人的には考えられない。
しかも、熱で破損してその部品がブレーキに噛み込んでしまえばエライことになってしまう。
それは容易に想像できるし危険だと思う。
普通のキャリパーを耐熱塗料で色を付けるということも一般的にある。
これも、耐熱塗料の耐熱温度が何度なのか、自分の走りに対して余裕があるのかということも考えるべきだと思う。
仮に、熱で塗料が溶けて、それがブレーキに回ってしまったら、どうなるか?
ブレーキは効かなくなるだろう、その時はブレーキが凄く熱を発している時だからハードに攻めている時だろう。
考えるだけでもゾッとする。
ブレーキ周りの見てくれだけの弄りは、百害あって一利なしだと思う。
考えてみれば純正品はどうなっている?
こうした事を考えてみた時に、純正品はどのようになっているだろうか?
通常の鋳物のキャリパーは無塗装(メッキはされているが)で表面が荒くなっている。
これにはこれで意味があるのだろう。
塗装していないのは、コストのせいなのか、塗料が溶けてしまう事を避けるためか、それとも色の乗りが悪いからだろうか。
鋳物肌のままだと、表面が荒くなっていて少しでも放熱性が良いという判断もあるのだろう。
下は管理人のS660のフロントキャリパー、ブレーキパッドのダストでキャリパーは掃除してもきちゃない
純正で対向キャリパーが付いているクルマも、よく見ると塗装ではなく焼付になっていると思う。
鋳物ではなく、アルミ削り出しだと表面を平滑にできる、さらにそこに色を焼き付けることで腐食も防止できる。
ブレンボやトヨタ系ならアドヴィックスなんかがそうなっている。
ブレーキに重きを置くならブレーキパッドを、より高温に耐えれるモノに交換するだろうと思う。
こうした高温に耐えるブレーキパッドはダストが半端ではない。
キャリパーやホイールは、いつでもブレーキダストで真っ黒けになってしまう。
きれいに塗装してあっても、これでは意味がない。
確かに対向キャリパーはカッコよい
管理人TomTomも対向キャリパーには大いに惹かれるところがある。
見てくれがカッコよくて、高性能だから言うことなしだ。
下はGRMN86のブレーキシステム、アドヴィックスの対向6ポッドキャリパー
だが対向キャリパーに大枚はたいて交換する際にも注意したいことがある。
それは、ブレーキシステム全体のレバー比のようなもので、ブレーキペダルを踏んだときにキャリパーからピストンがどれだけ押し出されるかという部分だ。
これを間違えると、ブレーキペダルを踏んだときの感触がとんでもないものになってしまう。
えらくスポンジーだったり、カチカチになってしまうこともあるだろう。
できれば、該当車種に取り付けようとするキャリパーの実績があるものが良いと思う。
対向キャリパーは確かにカッコよいし、ピストン数が多いだけに高性能だ。
だが、ブレーキの性能や感触はそれだけで決まるものでもない。
随分前にBMWに試乗した時に、真綿を締めるような感触(言い回しがイマイチだが)のブレーキに惚れ惚れしたことがある。
このブレーキの感触とステアリングホイールの正確さで、その時はBMWを選択したのだった。
この時のBMW車のキャリパーは、通常の片持スライド式キャリパーだった。
ブレーキの踏んだ時のフィーリングの良さは、キャリパー自体の構造とはあまり関係がないように思う。
また、ランエボXが出た時に、中山サーキットを走り込んだことがある。
この時の車両はブレンボ装着車だった。
かなり攻め込むと、ブレンボブレーキは音を上げて感触がスポンジーになり、しまいには煙を吐いてしまった。
せっかく焼き付けのきれいな赤色だったブレンボのキャリパーは、オレンジ色のような、なんとも言えない色に変色していた。
そのクルマに対して適切な容量を持ったキャリパーが付いていて、踏んだ時の感触がどうなのかが大事だと思う。
ブレーキ弄りのステップ
そもそも、なんのためにブレーキを弄るか?という事だ。
管理人TomTomの場合、ダウンヒルでフェードしてしまう、S660の不甲斐ないブレーキを強化しようと思った。
一般的には、ブレーキのフェードを解消しようと思うと次のようなステップを踏むと思う。
- ブレーキパッド交換
- ブレーキフルード交換
- ブレーキライン交換
純正ブレーキは、かなり余裕を持って設定されている事が多い。
だからブレーキパッド、ブレーキフルードを交換することで十分対応できる事が多い。
これでだめなら、他の方法も考えなければならない。
下は管理人が現在使っているディクセルのESというブレーキパッド、大変安いが使いやすい部類のブレーキパッドだ
だが、エンジンチューニングが進み、パワーが上がることに対して、明らかにブレーキが容量不足となってしまう場合もある。
こんな時、昔から良くあるのは、ディスクも含めて他車流用をしてしまうことだ。
今のクルマより重量が重い他車種のブレーキを流用する。
これも前述のように、実績のあるブレーキを使用したほうが良いのはもちろんだ。
最近では、車種別にキャリパーとディスクのセットがあるので、これを利用するのも方法だろう。
自分なりの理想のブレーキを設定してみる
管理人TomTomが、ここが重要だというブレーキのポイントは次のようなものだ。
- 絶対的な性能があること
- 踏む力に応じてリニアに効くこと
- リリースの際にスッキリと離れること
- 自分が走るフィールドで熱容量が持つこと
絶対的な性能があること
熱容量がうんぬんという前に、自分の車の動力性能や重量に見合ったブレーキ性能があるかどうかという事だ。
これが最初から不足しているなら厳しいと思う。
S660の場合はギリギリだと思う。
踏む力に応じてリニアに効くこと
ブレーキパッドを交換する前のS660の純正ブレーキは、今まで乗ったクルマの中でも最も難しいブレーキだった。
なんせ、効きがリニアではなく、自分でイメージしたブレーキングができない。
ブレーキパッドとブレーキフルードを交換して随分とマシになったが、まだ十分ではない。
リリースの際にスッキリと離れること
これはあまり重視されないポイントかも知れない。
ブレーキもステアリングも同様だが、アクションした時の戻しが非常に重要だ。
ステアリングでいうと、切り込んだ後の戻し、ブレーキでは、踏み込んだ後のリリースだ。
このリリースがスムーズではないと、せっかく荷重移動したのに抜けてしまったりする。
結果、ブレーキを駆使したスムーズなドライビングができない。
だから、ブレーキのリリース性能は大いに重要だ。
自分が走るフィールドで熱容量が持つこと
最後に、自分の走るフィールドで熱容量が充分あること。
人によって、走るフィールドと内容が異なるのは当たり前だ。
そこで十分に耐えれるブレーキになっていることが大切だと思う。
管理人TomTomの場合、S660のブレーキは峠や林道のダウンヒルでは完全に容量不足だった。
これは勾配が急だということや、絶対的なスピードが高くないので冷却が十分にされないという事も関係している。
スムーズに速く走るためには最も重要なブレーキ
管理人TomTomは、アクセルワークよりも、ステアリングワークよりも、ブレーキワークがワイディングや峠で走るには最も重要だと考えている。
それほどブレーキングは奥が深いし難しい。
今でもなかなかスパッと決まらない…。
ブレーキパッド一つとってもアフタマーケットには製品が溢れている。
その中から自分にあったモノを選択するのは至難の業だ。
ひとつづつ進めていくのが良いと思う。
ブレーキは決して見てくれ重視になってはいけない。
今回はこのへんで
では