シフト操作について改めて考えてみる シフトダウン操作のシンプルな意味

マニュアルミッション車に乗ってシフト操作をすることはクルマ好きにとっての幸せな瞬間に違いない。
管理人がクルマに乗り始めた頃、シフト操作の意味なんてあまり考えずに運転していたことを思い出す。
クルマに慣れてくるとクルマってこうやって走らせるんだ!となんとなく覚えてくる。
当ブログの読者の方のご希望に答えて、そんなシフト操作を改めて考えてみたい。

なんのためにシフト操作をするのか?

マニュアルミッション車のシフト操作はなぜやらねければならないのか?という基本的な問題をクリアしておこう。
まずガソリンエンジンを積んだクルマを想定してみる。
ミッションはもちろんマニュアルミッション。

走り出す際にはクラッチを少しづつミートして(半クラッチ)、エンジンの回転数を上げていく。
するとクルマは走り出すだろう。
走り出してしまうと分かることだが、クルマのエンジンには得意な回転数というのがある。
一番パワーが出る回転数やトルクが出る回転数のことだ。

このエンジンにとって得意な回転数をキープするのがシフト操作の意味だと思っている。
例えば、S660を考えてみると、一番得意な回転数というのは3,000rpm~6,000rpmというところだろう。
ワインディングを走っているとしよう。
コーナー手前で3速5,000rpmだとすると、コーナーへのアプローチでのブレーキングによって速度が落ちる。
それに伴ってエンジンの回転数も3,000rpmへ落ちたとしよう。

コーナーを脱出する際にこの回転数(3速の3,000rpm)でアクセルを踏んでもあまり力が出ないということになる。
この時シフトダウンすると(3速から2速へ)、3,000rpmだった回転数は4,500rpmとかになることになる。
2速の4,500rpmからアクセルを踏み込んでいくと非常に力強い加速が得られるということになる。
このことをパワーバンドに乗せるという。

お気づきだと思うが、シフト操作というのはエンジンの一番美味しい回転数をキープするために行う。

S660のシフトレバー

シフトダウンの基本的な動き

マニュアルミッションのギアを数字の大きなギアに変速することをシフトアップという(2速→3速とか)。
反対に数字の小さなギアに変速することをシフトダウンという(3速→2速とか)。

シフトアップは日常使用するのでここでは省略する。
走っている最中にエンジンの回転数が落ちてしまい、シフトダウンする必要があるとしよう。
こんなときに一番簡単なのが、普通のシフトダウンだ。
シフト動作とクラッチ動作しかしない。
操作としては、クラッチを切り、シフトを3速から2速へ入れる、再びクラッチを繋ぐという一番シンプルな動き。
このときにクラッチを繋ぐとキューンと減速してしまう。

あくまでこれがシフトダウンの基本だ。

管理人TomTomは、街なかの交差点をゆっくり曲がる時なんかは回転を合わせず、この基本的なシフトダウンでこなすことも多い。

シフトダウンの応用編:ブリッピング付き

シフトダウンの基本的な動きだけでは、クラッチを繋ぐとキューンと減速してしまう。
なぜキューンと減速してしまうのだろうか?
それはエンジンの回転と走行スピードが合っていないから。

3速から2速にシフトダウンしたので、同じ速度をキープしようと思うとエンジンの回転数を高くしておくと良いことは分かるだろう。
例えば、平地を60km/hで走っているとする、そのときに2速と3速を行ったり来たりシフト操作を繰り返してみる。
ギクシャクせずに車速を一定に保って走ろうとすれば、3速から2速にシフトしクラッチを繋ぐ際にアクセルを吹かすと良い。
反対に2速から3速に入れる際にはエンジンの回転数を抑えないとビューンと前へ出てしまう(擬音が多い…)。

イメージとしては一定の速度で走っている自転車のギアを変速した感じだ。
速度は一定だが、変速することでペダルの回転数で合わせるという感覚に近いと思う。

この3速から2速へギアを変速し、クラッチを切った状態でエンジン回転数を高くすることをブリッピングという。
こうすることでスムーズに車速をキープしながらシフトダウンができるというわけだ。
ヒールアンドトーなんて、この動作が出来てから練習しないとまったく意味がない。

管理人TomTomがクルマに乗り始めた頃、一定で走ってギアを変速する練習をたくさんしたものだ。

エンジンはブレーキをかけるためのものではない

世の中には様々な考え方があると思うが、管理人TomTomの考えとしてはエンジンは前へ進むためのもので、ブレーキをかけるために存在しているわけではないと思っている。
よくエンジンブレーキという言い方が出てくるが、スポーツドライビングでは頭から追い出したほうが良いだろう。
教習所での変な刷り込みが出来てしまっている。

コーナーの手前で適正なスピードまで減速する、当たり前のことだ。
このときにエンジンブレーキに頼ってはいけない、減速はフットブレーキで行う。
これを間違っている人が多い。
ブレーキだけで減速しきれないということは、そのクルマのキャパを超えているということだ。
このことをよく覚えておいてほしい。

しっかりブレーキで減速してからシフトダウンして回転を合わせてクラッチミートする。
このときに前述のブリッピングを行う。
するとスムーズにシフトダウンすることができ、コーナーリング中、そしてコーナーからの脱出のときにエンジンの美味しい回転数をキープすることができるのでアクセルでクルマの姿勢を楽にコントロールできる。

EK9のエンジン画像

コーナ進入時の一連の動きを考えてみる

シフトダウンとシフトアップがスムーズにできるようになると、次はコーナリングの一連の動きに合わせて考えてみる。
コーナーをクリアするには、3つのフェーズに分けて考えるとわかりやすい。
1つ目はコーナー進入、2つ目はコーナリング中、3つ目はコーナー脱出という感じだ。

コーナー進入時にやるべきこと

  • コーナー進入に備えて減速すること
  • 減速ともに荷重移動をすること
  • コーナーに合わせてクルマの姿勢を制御すること

コーナリング中にやるべきこと

  • コーナリング中のクルマの姿勢を制御すること
  • コーナー脱出に備えてトラクションを確保すること
  • 次のコーナーに向けて予備動作

コーナ脱出でやるべきこと

  • 姿勢を乱さない範囲で最大限のトラクションを得ること
  • 次のコーナーへの動作を開始すること

コーナー進入時の一番シンプルな形

直線を走ってきてコーナーへ進入しようとすると減速することになる。
一番シンプルな形としてはブレーキングをキッチリ行い、ブレーキングが完了してからシフトダウンすれば良い。
もちろんシフトダウンの際にはブリッピングを行いスムーズに回転を合わせる。
この動きは、ブレーキングとシフトダウン操作はまったく別の動きとするということだ。

コーナー進入時の一度にイロイロやる形

これに対して、コーナーの進入時にイロイロ一度にこなすというやり方がヒールアンドトーだ。
簡単に言うと、ブレーキングとシフトダウン、これにともないブリッピングを行う。
つまり3つのことを一度に行う(ブレーキング、シフトダウン、ブリッピング)。
実際のヒールアンドトー操作は以前解説したので参考にしてほしい
この方法だと操るドライバーは忙しいが時間を大きく節約できる。
コーナー進入の際の時間節約ができ、レース等ではタイム短縮につながる。

ヒールアンドトーは必須なのか?

以前の記事でヒールアンドトーは必須ではないと書いた。
超強力なブレーキを持ったクルマならヒールアンドトーなしでも速く走れるかも知れない。
だがヒールアンドトーができるに越したことはない。
それに我々素人が趣味でクルマを走らせるにあたって、ヒールアンドトーがうまく出来たときの気分良さといったら最高だ。

管理人のZC31スイフトスポーツのヤワなペダル

シフト操作だけできてもあかん

クルマを楽しく走らせるのは様々な操作がスムーズに出来なければならない。
マニュアルミッションのクルマなら、ミッション操作、クラッチ操作、ブレーキ操作、アクセル操作、ステアリング操作とたくさんすることがある。
これらを、同時に、スムーズに、すばやく、行えるようになれば良い。

一言で言えば簡単だが、これが大いに難しい。
管理人TomTomは30年以上クルマに乗っているが、その日の体調や気分でブレが大いにある。
今日はすごくうまく決まった!という日もあるし、まったくダメダメという日もある。
一日の中でも、疲れてくるとうまく操作できなくなることもある。
クルマをスポーツドライビングするのは非常に微妙だと思う。

当ブログでは、「クルマのドライビング」というカテゴリーに次のようなサブカテゴリーをつくっているので参考にしていただくと幸いである。
「カテゴリー一覧」から入るとわかりやすいのでおすすめ。

カテゴリー一覧

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加齢とスポーツドライビング

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操作方法:クラッチ

操作方法:シフト

操作方法:ステアリング

操作方法:ヒールアンドトー

操作方法:ブレーキング

視界の確保

車のマンマシンインターフェース

車両感覚の掴み方

今回はこのへんで
では