管理人は最近エーミングやCDRという言葉を初めて知った。
もちろんクルマに関係した言葉なのだが分かる方はどれくらいいるのだろうか?
クルマの電子化がどんどん進む、身近なところではECUを筆頭に自動ブレーキもそうだ。
こうした電子化の影でクルマの修復等の現場では新しい分野が生まれているのだ。
そんな事を書いてみた。
考えてみれば当たり前だが
何かを測定しようと思えば測定器が必要だ。
測定器を正しく動作させようとすると0点を合わせるとかのキャリブレーションが必要になる。
管理人にとって一番身近なのはアナログテスター(最近は少数派か?)の抵抗値を図る際にプローブをショートさせて調整つまみで0点に針をアジャストすることだった。
最近のクルマの運転補助装置は高度なセンシングや画像処理を行い危険と判断するとドライビングに介入する。
クルマの修復を行った際にはこれらのセンサーやセンサーを正しく動作させるための条件を整えることが必要になる。
特に自動ブレーキ周りはカメラやミリ波レーダー、赤外線レーザー等の測定方法や解析を用いる。
これらを正しく動作させようとすればキャリブレーションが必要になるのは考えてみれば当たり前のことだと気づく。
ちなみにこうした運転補助装置を積んだクルマをASV(アドバンスド セーフティー ヴィークル)と呼ぶそうだ。
言われてみればこうした事は当たり前のことだと分かるのだが今まで気づいていなかった。
クルマの修復時にはエーミングが必要だ
自動車メーカーから新車で出荷時には当然のことながらこうしたセンサーは正しく動作するように調整されている。
しかし事故ってしまいクルマを修復した時にはセンサーの位置や方向がずれてしまうことは大いに考えられる。
そこでクルマの修復時にセンサー類を調整するのがエーミングという作業なのだ。
エーミングの作業は自動車メーカーから方法が当たり前だが指定されている。
エーミングは自動ブレーキに正しい動作をさせるために必要な調整だから非常に重要だ。
現在国土交通省で資格化の検討や勉強会を行うことが進んでいるようだ。
ユーザにとっては自動ブレーキはドライバーのミスを補完するありがたい装備ではある。
だが事故った時にクルマを修復する際にはエーミングのような新たな作業が発生しコストが発生することになる。
エーミングに使用するツールも必要になる
これも考えてみれば当たり前のことだがエーミングに使用する測定器も必要になる。
自動車メーカーや車種ごとに専用のもの、汎用のものがあるようだがいずれにしても必要になる。
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現在こうしたエーミングの作業が行える独立系の修復工場はどれくらいあるのだろうか?
自動車メーカー系のディーラーなら必須の作業項目だが…。
独立系の修復工場は機器を購入し、研修を受けてとエーミングに関してはやることがたくさんある。
いやはや大変な時代になったものだ。
CDRと言ってもディスクのことではない
こちらも新しいクルマに関する技術のお話である。
最近のクルマは事故った時にその直前にどのような操作がなされていたかを記録する仕組みがある。
飛行機のフライトレコーダーのようなものだ。
このような装置はクルマではEDR(Event Data Recorder)と呼ばれる。
主にエアバッグコントロールモジュールに内蔵されることが多いようだ。
このEDRは衝撃が加わると(エアバッグが展開する)5秒間さかのぼって様々なデータを記録するという働きを行う。
記録される内容は時系列となっており次のような項目だとされる(車種により異なる)。
- 車両の速度
- ブレーキ操作
- ステアリング操舵角
- 衝突の大きさ
- シートベルトの着用状況
- エンジン回転数
- アクセル開度
- シフトポジション
等々
EDRに記録されたデータを読み出すのがCDR(Crash Data Retrieval)という機器だ。
カタカナにするとクラッシュ データ リトリーバル という。
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EDRの搭載義務化の流れとCDR
すでにグローバルではEDRをクルマに搭載義務化が検討されていて実現するのは時間の問題だと思われる。
日本でも昨今の暴走事故でEDRの解析が大いに役立っているようだ。
もちろん日本でも義務化の流れは避けられないことだろう。
具体的にCDRとはEDRよりデータを読み出して、さらにそのデータを解析し、レポートを作成するという一連の流れになる。
これには次のようなモノが必要になる。
- データが記録されたECU
- ECUに接続するケーブル
- CDRインターフェースモジュール
- PC上の解析ソフト
- 解析した結果レポート
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CDR解析技術者
ややこしい交通事故の場合、どちらが悪いとか、過失割合がどの程度だとか判定するのは大変難しい。
過去の膨大なデータよりパターン化して判定しているのが現実だと思う。
だがぶつかる直前のクルマの状態が把握できれば、より正確に交通事故を解明することが可能となる。
主に保険屋さんが使うことになると思うのだが、社会的な重大事故でも効果を発揮することだろう。
そこでCDRにより取得したデータを用いて解析を行うわけだがある程度はソフトウェアでやってしまう。
最後は人間がそれを判断して一連のクルマの操作はこうだったと組み立てるということが必要になる。
こうした解析技術者が必要になるわけだ。
クルマの電子化が進むと今まで思いもしなかった分野が出現する(業界の人は分かっていたのだろうが…)。
これからもクルマの電子化は止まらない、だからもっともっと広い分野に影響が出るのだろう。
今回はこのへんで
では