車でキャンバー角と言えばフロントタイヤがハの字になる奴だ。
全く個人的見解で書いてみたので悪しからず。
フロントサスペンションの角度調整(アライメント)と言えば、まずトーイン、次にキャンバー、最後にキャスターだろう。
トーインは文字通りフロントタイヤが真上から見て進行方向へ内向きや外向きになる調整の事だ。
これに対してキャンバーは真ん前から見てハの字になるのがネガティブキャンバー、逆ハの字になるのがポジティブキャンバーという。
ややこしいのでリアサスペンションのことはココでは触れないことにしよう。
ネガティブキャンバーの意味
フロントタイヤにキャンバー角を付けるということはどういう事かと言うと、コーナリング時フロントタイヤの路面への接地角を最適化する事なのだ。
決して見てくれをどうのこうのというものではない。
最近の市販車は最初からネガティブキャンバーになっているモノも結構あるが、通常はほとんど付いていない。
これは直進性とコーナリング時の兼ね合いのためこうなっているのではなかろうか。
一般的にネガティブキャンバーを付けて行くとコーナリング時のグリップ感は向上していく。
反面ステアリングに伝わる感触は直進時のインフォーメーションが低下し、なんだか頼りなくなり座りが悪くなる。
この角度の付け方がミソなのである。
何事もやり過ぎはいかん
オッサン的にはパッと見てネガティブキャンバーがほのかに付いているなぁと感じられるくらいが良いだろう。
一目でかなりキャンバー角が付いているなぁとなると何処かのサーキットに対して最適化した車両ではないかと思ってしまう。
もちろん目的のコースを走るのに最適なキャンバー角というのがあるので、そのコース専用車とするならばそういう風にセッティングすることもあるだろう。
しかし5度とかネガティブキャンバーを付けると見てくれが非常にエグくなる。
オッサン的には大人げない外観となってしまうのは避けたいと思うのである。
外観だけからいえば少しだけ付いているのね、と見る人に分かっていただける程度に付けたい。
もちろんターゲットにするサーキットやコースがあるのであれば、それに向けたチューニングをするまでだ。
↑ 左がネガティブキャンバー状態、右がポジティブキャンバー状態、ネガティブキャンバーを付けることによりコーナリング時の横Gが掛かった際にタイヤの設置角度を適正化する事が目的、つまりコーナリング時にタイヤの能力を最大限利用するという事なのだ、画像はネット上から拝借
ネガティブキャンバーを付ける方法は様々ある
ほとんどの場合は日常利用と狙うフィールドの中庸を狙うことになる。
キャンバー角の付け方はそれこそ沢山のやり方がある。
車高を下げるだけでもある程度は付けることができる。
サスペンションの形式別にキャンバー角の付け方を解説してみよう。
ストラット形式の場合
一般的なストラット形式のサスペンションなら以下のような方法がある。
- ピロボールアッパーマウントを使う方法
- ストラット下部のハブキャリアとの締結ボルトを偏心したキャンバーボルトに変更する方法
- キャンバーアダプターを装着する方法
- ロアアームを延長する方法
などがある。
最後のロアアームを延長する方法は昔ラリー車を作る際に良く使った方法だ。
純正のロアアームを途中で切断してから鉄板を継ぎ足して長さを長くするのだ。
ちなみにTE71カローラの時代でロアアームを30mm延長するとかなりキャンバー角が付いた(正確には測ってないので分からない)。
↑ ZC31スイフトスポーツにキャンバーボルトでキャンバーを付けたところ、ストラット形式のサスペンションは様々なキャンバー角の設定方法がある、このZC31スイフトの場合はキャンバーボルトという偏心した他車種用のスズキ純正ボルトを流用した、角度はある程度決まってしまうが純正部品でもある事から安心確実な方法だ、ボルト自体が偏心していてハブキャリアーの角度を付けることができる、この他にはストラットアッパーマウントを調整式に変えるという方法がある、この方法はノーマルのアッパーマウントをピロボール式に変える必要があるがデメリットとしてピロボールの音が出る事や定期的なピロボールのメンテナンス(交換)が必要だ、またキャンバーアダプターを利用するという方式もある、最近ではロアアームの延長はめっきり見なくなった
↑ キャンバーアダプターによる例、中央のシルバーの穴が開いた金具がキャンバーアダプター、ストラット下部を本来の位置より車体外側にオフセットする、オフセットする距離によりキャンバー角が決まるのでキャンバーアダプターにはサイズがある、ロアアーム延長したのと同じ効果が得られる、画像はネット上から拝借
↑ ストラット形式のピロボールアッパーマウント調整式の例、左がピロボールアッパーマウント本体、中央の黒いボルトはストラット上端を留めるボルトで自由に動くようにピロボール形式のベアリングとなっている、ノーマルのアッパーマウントとは異なりゴム等を介さないボディーに直付けとなる、サスペンションからはダイレクトに振動が伝わるがサスペンション上部の動きはピロボールのためスムーズ、周辺の3本のボルトはボディーへのマウント用、中央の黒いボルトの周辺の4つの小さなボルトがキャンバー調整用のボルト、ストラット頭部の取り付け位置を調整する事が出来る、車両内側へ固定すればネガティブキャンバーがきつくなり車両外側時へ固定すればネガティブキャンバーが緩くなる、右の画像は実際にボディーに取り付けたところ、注意したいのはピロアッパー=キャンバー調整可能ではない事だ、画像はネット上から拝借
ダブルウィッシュボーン形式の場合
ダブルウィッシュボーンの車は少し難しい。
専用の調整式のサスペンションアームを取り付けるとか、純正のサスペンションアームを曲げるとかの方法がある。
↑ 左はS2000用のフロントのアッパーアームの例、右はS2000のフロントダブルウィッシュボーンのアッパーアームを調整式に変更した例、ハブキャリア上側に接続される部分の位置を調整する事が可能、調整式なので好きな角度にセッティングする事ができる、DC2やEK9等も同じやり方だ、画像はネット上から拝借
自分好みのキャンバー角を見つけよう
見てくれはバッと見て、僅かにネガティブキャンバーが付いているのがなかなか通好みで良いと思うのだ。
ドライビング感覚はイロイロ角度を試してみて自分の感覚に合ったところを探してみよう。
キャンバー角を付ける方法と共にサスペンションのアライメントを総合的に車屋さんと相談して決めるのが良いだろう。
20170125追記:リアがトーションビーム形式の固定軸FF車でのキャンバーを付ける方法
実はキャンバー角を付けることができるのは独立懸架のサスペンションだけではない。
FF車でリアがトーションビーム形式になっているサスペンションの例を上げてみよう。
仕組みは簡単だ、トーションビームとハブが取り付けられている場所にテーパー形状の板(シム)を挟み込むことでキャンバー角を付けることができる。
管理人TomTomも乗っていたZC31スイフトスポーツではこうした調整用のシムが販売されていた。
管理人TomTomはZC31に関してはリアの動きに特に不満はなかったのでこれは装着しなかった。
20170125追記:サスペンションを弄る時は一箇所づつ
サスペンションに限らずセッティングを行っているとアレもコレもやりたくなるのが人情だと思う。
どうせ作業するなら1回でやりたいという心理も働くだろう。
だが1度に複数の箇所を弄ってしまうと、その効果測定した時にどの箇所による効果なのか分からなくなる。だから1箇所づつコツコツと長期戦で労を惜しまずセッティングするのが早道だ。
今回はこのへんで
では