車載音声認識システムは実は深く深く潜行しているのだった・・・。
フォーカスと「SYNC」
フォードのフォーカスを調べているうちにアメリカ国内では面白い装備があることに今更ながら気が付いた。
フォーカスと言えばフォードのドル箱的存在でベストセラーのコンパクトカーだ。2012年には約100万台のセールス実績を持ち、現行で3代目、もうすぐ出るモデルが4代目となるのだが歴代モデルのセールス実績はなんと1000万台ということだ。そんなフォーカスは日本国内では全く精彩を欠いている。
そのフォーカスに2007年から「SYNC」というマイクロソフトと共同で開発した音声認識システムを搭載している。車内におけるあらゆる操作を音声認識で行うことができる。
なんとその「SYNC」を搭載した車が累計で500万台となるそうだ。
↑ フォードの「SYNC」説明のWeb、今まで全く知らなかったのが不思議、かなりの台数に搭載されているので機能面もこなれていることだろう、実際に操作してみてみたい、画像はメーカーサイトより拝借
マイクロソフトとアップル
少し前にAppleのSiriを車載すること(システム自体は「Eyes Free」と呼ばれている)で各自動車メーカーと提携というニュースが流れていた。実はこうした車内における音声認識技術はアップルが先鞭を付けたのかと思っていたが、全く状況は異なるようだ。
↑ アップルのSiriに関する車載の特許申請の図、コントローラーをステアリングに装着するアイディアだ、実際にはこんな所に取り付けたら邪魔だろうし危険だ、すでに一部のメーカーではアップルのSiriを利用して操作できるものもあるらしい、画像はネット上から拝借
元々マイクロソフトはWindowsCEエンベデッドで車載コンピュータのマーケットを狙っていたし、サードパーティーのナビなんかも徐々に取り込んでいっている戦略だ。
このマイクロソフトの500万台の実績に対してアップルは提携を発表したという段階だから、実はお話にならないくらい遅れているのだ。
自動車メーカーにとってみれば特定の音声認識システムに縛られるのはあまり面白くないお話だ。フォードはマイクロソフトとうまくやっているが、実際の思惑はそういうことだろう。
加えてデバイスは常に新しいモデルが出てくるし、利用者は移り気である。
車内のITにおけるマンマシンインターフェースの行方
こういった事を考えるとこれからの車内マンマシンインターフェースは、自分の持っているデバイス(スマートフォンが主流だろう)との汎用的な接続となり、特定のやり方に偏ることはないと思う。
例えばアンドロイドのスマホを持っている人・マイクロソフトのOSが入ったスマホを持っている人・そしてiPhoneを持っている人、これらの全てに対応できるものが理想的だ。
現在ではマイクロソフトのOSが入ったスマホは非常に少数的だから実質2種のスマホが対象ということになる。
そういう意味では音声認識の部分はマンマシンインターフェースとしてなんでもOKで、ドライバーがコマンドを発した内容を解析して実際のコマンドに置き換えるという働きだ。そして車両側のシステムがそのコマンドを処理して実行するという図式である。自動車メーカー自身が音声認識の部分を手掛けないのは手間がかかるからだろう。
日本でもSYNC
日本国内でもこの春にお目見えする新型フォーカスに「SYNC」が英語版のまま搭載されている。
実際に触ったことがないのでなんともだが、英語版(操作するのに英語で話しかけないといけない)のままでは日本において話題となることは難しいだろう。
発売前だが車自体は非常に高評価なようなのでこうした装備にも気を使ってほしいものだ。
前から言っているがフォードはディーラー網の充実にこうした日本国内仕様の詰めがもう少し必要だ。せっかく良い車なのにもったいない気がする。
今日はこのへんで
では