シートポジションが合わないとドライビングの際に違和感があったり、ひざの裏が痛かったり、シートから前へずれてしまったりして気持悪い事この上ない。
そんな大事なシートポジションの微調整を行う方法を書いてみた。
人間の体は非常に繊細
毎日車に乗る人でもその日によりシートポジションがキツイような気がして後ろへずらしたり、逆に前へずらしたりする事があるだろう。
着ている服でも変わってしまうが人間の感覚は微妙だし日々変化する。この感覚を究極まで突き詰めて安定させた人たちが世界一流のアスリートなのだろうと思う。
しかし我々のような一般人であっても微妙な感覚は持っているのだった。それもほんの小さな違いをキチンと感じることができる。
車のドライビングで特にシートポジションは全ての動作の基本となるだけに微調整を行う事で車に対する感覚を大きく改善する事ができる。
基本的なシートのポジション出し
ノーマルシートおよびリクライニングバケットシート(底止め)は基本的には大きく取付位置を変更する事が出来ないのでここでは除外して考える。
バケットシートを取り付ける際にはボディーに取り付けるシートレール、そのシートレールにバケットシートを取り付けるためのサイドステーの2種類の金具を使用する。
ここでサイドステーのいくつか開いた取付け穴を利用して自分の希望するポジションに近い位置に固定するのはご存じの通りだ。
シートと用途によりシートポジションは変わる
フルバケットシート一つとっても様々な種類がある。シート自体が低く取り付ける事が出来るように工夫されたもの(ローポジション仕様)が人気だ。シートポジションはできる限り低く取り付けるというのが定説なのだ。
しかしこれはどのように走るかという事で変わるものだ。サーキットでレースに出るというような用途の場合は低いシートポジションで重心を下げるというのは有効だろう。
逆に低すぎて困るということも起こり得る。例えば街乗り、公道を走るラリー、パイロンを見極めるジムカーナなんかはそうだ。シートポジションが低すぎると車の4隅が見渡せない。インに寄ろうとしても縁石や溝が見えないという事もある。だからあまりにシートポジションが低すぎると支障が出る。
↑ EK9のフルバケットシートの様子、赤い部分がサイドステーとシートの固定ボルト、ここはいくつか穴が開いているので自分の好みに近いポジションに固定する、ただし穴のピッチが大きいので微調整という訳には行かない、今回調整するのは黄色い部分のシートレールとボディーの取り付け部分だ
重要な座面の角度
大まかな取付位置が決まると重要になってくるのがシートの座面角度なのだ。座面を前上がりにしたりフラットにしたり、前下がりにすることはまずないだろう。
ここで考えなければならないのはフルブレーキング中に体が受ける減速Gなのだ。フルブレーキングでシートの中で体がずれることがある。
普通にブレーキを踏んでいる限りはこうした問題は出てこない。しかし走り込んでフルブレーキングが出来るようになってくると減速Gで体がずれる事は日常茶飯事なのだ。減速Gで体がずれてしまうというのはある意味キチンとブレーキングできているという証拠でもあると思う。
反対に加速Gではシートバックもあるしそこまでの加速Gは出ないので心配することは無い。
そこでブレーキングの際に体が前へずれてしまうような場合に今回のお話のメインである微調整を行う訳だ。
具体的な内容としては座面角度の調整を行う。
座面角度は前上がりにすると減速Gで体が前へずれなくなる。しかしやり過ぎるとひざの裏がシートに強く当たり痺れたり操作に支障をきたすようになる。これを微調整する訳だ。
微調整にはワッシャ―を使う
調整方法は非常に簡単でワッシャ―を使う。厚みの異なるワッシャ―を幾種類か準備をしておくと良い。
良く使用するのは2mm厚のモノだ。厚みのあるワッシャ―は径も大きく直径がおおむね30mm程度ある。
ワッシャ―を入れる位置はシートレールとボディーの間。つまりシートレールごと取付け角度を調整してしまうのだ。
さらにシートレールは前後左右4か所のボルトでボディーに固定されている。左右の調整を行う事はまれだから単純に前後だけで考えてみる。
この時シートレールをボディーに取り付けているボルトの事を考えると2mm厚のワッシャ―を挟むのは2枚が限度だろう。
ここは非常に力の掛かる部分なのでくれぐれもワッシャ―を挟み過ぎてボルトの噛み合いが少なくなることは避けよう。
ワッシャ―2枚まででは次のような組み合わせが考えられる
前 後 備考
0 0 そのまま(角度無)
1 0 前上がり(角度緩)
1 1 そのまま(全体を上げ角度無し)
2 0 前上がり(角度急)
2 1 前上がり(全体が上がり角度緩)
2 2 そのまま(全体を上げ角度無し)
※数値はワッシャ―の枚数
この中から自分の気に入るポジションを見つけ出すことができる。
たかがワッシャ―1枚と思うなかれ、これが意外と違いを感じることができるのだ。
ラリーに参加している時も、現在行っているEK9のスポーツ走行のサポートでも最後はこの方法で微調整している。
↑ ZC31のシートレール取付けの図、赤い部分のボディーへの取り付け部分にワッシャ―を挟む、位置はシートレールとボディーの間だ、その上から通常の通りボルトで締めこむ、使うワッシャ―は2mm厚位がちょうど良い、あまりワッシャ―を沢山入れすぎるとボルトの掛かりが悪くなるので注意する2mm厚を2枚程度が限界だろう、画像はレカロリクライニングバケットのベースフレームの取付け風景
ワッシャ―を使用する微調整方法はリクライニングバケットシートにも使える
紹介した方法はフルバケットシートだけではなくリクライニングバケットシートでも使える。
なんせシートレールとボディーの間にワッシャ―を挟み込むだけだ。
純正のシートではシートレール側もしくはボディー側に位置合わせのピンが出ている事が多く、ココで使用するような大きな径のワッシャ―は使用できない事が多いので注意してほしい。
今回はこのへんで
では