ヨーロッパではyaris(ヴィッツ)に1.4Lディーゼルモデル追加

最近日本国内でもクリーンディーゼルブームになりつつある。
一時期のディーゼルエンジン悪者論は影をひそめて、よりクリーンになったディーゼルエンジンが多数出現している。現在のところこの日本国内のトレンドを引っ張るのはマツダのSKYACTIV-Dであることは間違いない。
今回はヨーロッパで発売されているyaris(ヴィッツ)に1.4Lのクリーンディーゼルエンジンが搭載されたのを機会に小さなクリーンディーゼルエンジンについて調べてみた。
ヨーロッパでのyaris(ヴィッツ)
↑ ヨーロッパでのyaris(ヴィッツ)、日本国内と同じヴィッツなのだが何故か垢抜けて見えるのが不思議だ、このサイズでクリーンディーゼルを積んだ実用車は普段使いにかなり魅力的だと思う、日本でもコンパクトカーのクリーンディーゼルの波が来るかもしれない、画像はメーカーサイトより拝借

日本国内でのクリーンディーゼルの状況とマーケティング

まず現在クリーンディーゼルエンジンを積んだ車を販売している自動車メーカーと車種は「クリーンディーゼル普及促進協議会」によれば次の通りとなっている。

  • メルセデス:6車種
  • マツダ:5車種
  • BMW:5車種
  • ALPINA:4車種
  • 三菱自動車:2車種
  • Mini(BMW):2車種
  • トヨタ:1車種

こうして日本国内でのクリーンディーゼルエンジンを積んだ車のラインアップを改めて見てみると輸入車勢の攻勢が目立つ。何と言ってもメルセデスとBMWが多くの車種にクリーンディーゼルエンジンを積んだモデルを設定しているのだ。
その中で国産車勢で唯一健闘しているのがマツダだ。冒頭のSKYACTIV-Dエンジンで国産勢の先頭を走っている。
その他のメーカーではかなり以前からクリーンディーゼルディーゼルを手掛けている三菱自動車だが現実的にはあまり存在感が無い。
トヨタは今回のプラドにディーゼルモデルを復活させて1車種のみのラインアップに留まる。
日産の先代のエクストレイルにもクリーンディーゼルエンジンを積んだモデルは存在したが2015年2月に販売を終了しているので現在は全くラインアップが無い状況だ。
その他の自動車メーカーではヨーロッパではディーゼルモデルを展開しているが日本へは導入していないメーカーが目立つ(スバルやスズキ)。
さらにルノーやPSAのようなコンパクトカーを得意とする自動車メーカーが日本国内ではディーゼル車のラインアップを持っていない。
こういう事から日本国内でのクリーンディーゼルの客層は以前のディーゼル乗用車とは異なり、環境意識が強く太いトルクで車を楽しむ新しい自動車のイメージを持つユーザーであることが分かる。このためのコスト増はある程度避けれないと許容できるユーザー層だ。

小さなクリーンディーゼルの状況

日本国内では2.0L未満のディーゼルエンジンはマツダの1.5LがCX-3やデミオに搭載されているのみだ。
このサイズのディーゼルエンジンは小さな車体のコンパクトカーに搭載される事になる。コンパクトカーではディーゼルエンジンのコストが車両価格に反映され、その価格が比較的高くなってしまうのが自動車メーカーにしてみれば最大の悩みだろう。
ガソリンエンジン車とディーゼルエンジン車の価格差が大きいとユーザーにとっては燃費の良さで回収するのに長期間かかることになりメリットが薄れてしまう事になる。
まして日本ではハイブリッド車が非常に良好な燃費と車両価格を示している現在では積極的にディーゼルモデルを選択する理由が希薄なのだ。
「1.4D-4D」クリーンディーゼルエンジン
↑ トヨタの「1.4D-4D」クリーンディーゼルエンジン、非常にコンパクトなエンジンであることが一目で分かる、これで効率の良い人間の感性に合ったミッションと組み合わされれば日本でも行けると思う、個人的にCVTはシックリこない、画像はメーカーサイトより拝借

UKでのyaris(ヴィッツ)とMazda2(デミオ)の比較

ヨーロッパにおいてもyaris(ヴィッツ)の好敵手だと思われるデミオの1.5Lディーゼルモデルとの比較を行ってみよう。

エンジン性能の比較

今回yaris(ヴィッツ)に積まれた「1.4D-4D」というクリーンディーゼルエンジンは90 DIN hp(66kW)と205Nmのトルクを発生する。これはデミオのディーゼルエンジンの77kW/220Nmに対して少しだけパワーとトルクとも下回る。

燃費性能の比較

燃費性能に関してはyaris(ヴィッツ)では29.4km/L(EU combined)の燃費性能となっており、この数値のみを見るとデミオのディーゼルモデル29.4km/L(EU combined)と全く同じだ。もちろん双方ともユーロ6対応である。

車両価格の比較

UKでの車両価格を調べてみると次のようになっている。

UKでのyaris(ヴィッツ)ICONグレード

  • 1.33Lガソリン6MTモデル:£14,095.00(約274万円)
  • 1.4Lディーゼル6MTモデル:£15,595.00(約302万円)※ガソリンモデルとの差は28万円

UKでのMazda2(デミオ)SportNavグレード

  • 90PSガソリンモデル5MT:£15,395(約300万円)
  • 105PSディーゼルモデル6MT:£17,395(約339万円)※ガソリンモデルとの差は39万円

同じような車格の2車だがターゲットとするユーザー層が異なるようだ。全体的にデミオのほうが高価な設定となっておりかなり差がある。
さらに日本と同様にデミオはディーゼル車とガソリン車の価格差が大きい。同じコンパクトカーだがこうした販売の方向性が微妙に異なるのが大変興味深い。

ヨーロッパでのトヨタのディーゼルモデルの状況

このクラスでトヨタがクリーンディーゼルモデルを投入したのは、激化するコンパクトカーのマーケットでの確固たるポジションを占めるためだろう。
このためyaris(ヴィッツ)にはガソリン/ハイブリッド/ディーゼルとパワーソースは3種類も用意されているのだ。
yaris(ヴィッツ)よりも先にオーリスについてもクリーンディーゼルエンジン「1.4D-4D」を積んだモデルを設定している。こちらもyaris(ヴィッツ)と同様にガソリン/ハイブリッド/ディーゼルと揃っている。
やはりこうしたコンパクトカーでは競争が激しくBセグメントではyaris(ヴィッツ)でCセグメントではオーリスで対抗していこうという戦略のようだ。

今回はこのへんで
では