VWのEA189エンジン排ガス不正問題に思う:その4、原因追究と再発防止策に加えて企業の道義的責任の取り方

VWのEA189エンジン排ガス不正問題については大きな進展は無いようだ。
大きな進展は無いが小さな情報がいくつか出てきている。
VWロゴ

VWの元CEOはまだVWグループ会社の役員なのだ

すでに辞任したVWの元CEOはVWグループ会社の役員を現在も兼務(複数だ)しているという報道がある。
VWグループは資本関係が複雑なので一筋縄ではいかないのかもしれないが・・・。
さらに退職金のお話も聞こえてくるし、VWの元CEOに関してはまことにイメージが悪い。

VWの元CEO自身が今回の不正に関して関与していたかどうかは現在のところ不明だ。
だが国際的に大きな悪影響を与え、コンプライアンスを守らなかった企業のトップとしては大いに問題があり往生際が悪いと言えるだろう。
ここはスパっとVWに関する役職を全て辞任し、報酬についても返却する事で世界中に自らの責任を示さなければならない。

自らの態度で示すという事だ。

VWの組織的な欠陥の解明を急ぐべきだ

今回のVWのEA189エンジン排ガス不正問題が発覚したアメリカはもとより、ディーゼル比率の多いヨーロッパでも大混乱である。
もちろん我々が住んでいる日本でも大騒ぎだ。特にディーゼルエンジンを多数販売している自動車メーカーは風当たりが大きい。

当初の情報では世界中で対象となる車の台数は1,100万台、アメリカでは48万2,000台である。
ここに来て各国集計という数値も登場してきた。
ドイツで280万台、フランスで95万台、スペインで70万台、ベルギーで40万台、オーストリアで36万台となっている。
これらを合計すると521万台となる。
数値はこれからも動くだろうから正確な数値が出るまで待たなければなるまい。

ここで問題なのはこれだけ数量ボリュームが大きいEA189エンジンの制御システムに不正を含んだままなぜ展開してしまったのかという事だ。

考えられる事はVWの社内での組織的な欠陥である。
コンプライアンス遵守よりも優先すべき事項がVW社内であったという事だ。
この原因は1つでは無く、いくつもの原因が複合して出てしまったと思うが、それをスルーしてしまうチェック機構も含めて検証する必要がある。
断片的な事実を分かったところから出してくれるとユーザーは安心できるかもしれない。

数値至上主義がもたらす害悪

VWのアメリカにおけるシェアはわずか3%台であり、この数値がなかなか向上しなかった。
一方、VWの中国依存は凄まじいものがあり、全体販売台数の1/3以上を占めている。
中国という1つの国だけでこの数値となっているのは企業としてリスクが大きすぎる。
素人目にも明らかだ。

こうしてVWの数値を見てみると問題点が浮き上がってくるような気持ちになる。
伸びないアメリカでのシェア、頼りすぎている中国といういびつな構造だ。

相対的に中国への依存度を下げるにはアメリカでの販売台数を伸ばすのが一番近道だし建設的だ。
だからアメリカで数値至上主義に陥ったのではないだろうか。

組織のヒエラルキーとしてアメリカでの販売台数を伸ばせという至上命令。
加えてチェック体制の働かない組織。
という構図が想像できそうだ。

リコール対象のユーザーの救済はどうする?

自分がリコール対象の車を所有しているとしたらどうだろう?
リコールの数が非常に多くて想像もできないが、様々な不都合が起きるだろうということが容易に想像できる。

一番の問題点は今回のリコールに関する技術的な対策が一筋縄ではいかないという事だ。
リコール対策作業が行われたとしてもパワーと燃費がガタ落ちになる可能性を含んでいる。

また対象台数が多いだけにリコール対策をするのにどれだけの期間が必要になるのだろうか。
ユーザーにとってはいつになったら自分の番が回ってくるのだろうという事態も考えられる。

さらに中古車市場での価格も下落してしまいユーザーは損をするだろう。

だからアメリカではユーザーによる訴訟が頻発する訳だしその理由も理解できる。
ユーザーとしては返品してくれ!というのが正直なところだろう。
非常に難しい問題なのだ。

今後の推移を見守りたいと思う。

VWのEA189エンジン排ガス不正問題シリーズ記事

VW排ガス不正」というカテゴリーを作ったので見て下さい。

 

今回はこのへんで
では