プロトンの「サトリア ネオ」というモータースポーツベース車、非常に貴重な素朴な車だったがその後どうなった?

プロトンと言う自動車メーカーの事は聞いた事があるだろうか。
プロトンはマレーシアの自動車メーカーで設立当初は三菱自動車と深い関係であった。
その後成長を果たし現在ではあのロータスを傘下に置く企業となっている。
今回はそのプロトンが製造する「サトリア ネオ」というハッチバック車について書いてみた。
「サトリア ネオ」のサイド画像
↑ 「サトリア ネオ」のサイド画像、日本ではクスコブランドで有名なキャロッセが販売する、4m未満の3ドアハッチバックで非常にシンプル素朴な車だ、キャロッセが販売する「サトリア ネオ」には電子デバイスがほぼ付いていない、ABSもレス状態なのだ、今時こういった車は貴重だと思う、画像はキャロッセサイトより拝借

国内ラリーへの参戦車両の選択肢

日本国内のラリーへの新車参戦車両としては現在まだまだ選択肢が少ない状況だ。
先日やっとDJデミオの15MBが発表になったので1,500cc以下のクラスはやっと選択肢が増えたという状況だ。

しかし戦闘力のある車両は古い車が多く未だにシビックType-RやブーンX4、ストーリアX4等が参戦していて好成績を出している。
最近の車は総じて戦闘力が無いというのが現状なのだ。しかしこれには新しい車は燃費や環境をクリアしなければならないという面もあり難しいところではある。

参加するる側から見ると費用は最小限に抑えたい。使用する車両は戦闘力が高くて安い車がベストなのだ。
それには中古車で車両を手に入れて競技車両として仕立て上げるというのが一番一般的だろうと思う。

全日本ラリーのカテゴリー分け

↑ 全日本ラリーのカテゴリー分け、慣れていないと結構わかり難い、1,600ccのコンパクトカーを救うためにJN2/RPN車両が2014年に追加となっている、管理人が参加していた時はABCの3つしか無かった、画像はJRCAのWebページより拝借

「サトリア ネオ」はモータースポーツベース車として日本ではキャロッセがデリバリー

そんな新陳代謝の進まない国内ラリーの参加車両に一石を投じたのがキャロッセだ。
キャロッセはマレーシアの自動車メーカーであるプロトンの「サトリア ネオ」を2011年から輸入し販売している。

この「サトリア ネオ」は何の変哲もない3ドアハッチバック車だがリアサスペンションはマルチリンクとなっていてこのクラスの車では珍しく独立式となっている。

一時は「サトリア ネオ」が大変盛り上がったのだが最近はあまり聞かなくなってしまった。
個人的にはちょっと非力だが大変面白い車だと思うのだが。

「サトリア ネオ」のスペック

サイズ:全長3,905mm×全幅1,745mm×全高1,434mm
ホイールベース:2,440mm
エンジン:1.6L 直列4気筒
最高出力:113ps/6,000rpm
最大トルク:148Nm/4,000rpm
ミッション:5MT
ブレーキ:前ベンチレーティッドディスク、後ディスク
サスペンション:前ストラット、後マルチリンク
タイヤホイール:195/55R15、鉄ホイール
タンク容量:50L
車両重量:1,160kg
最高速度:190km/h
0-100km/h加速:10.5秒

※この状態でパワーウェイトレシオは10.27kg/PS

「サトリア ネオ」のオプション装備が凄い

キャロッセが販売する「サトリア ネオ」はオプションで競技用の装備が追加できるようになっている。
その内容がかなり凄い。
元々「サトリア ネオ」を購入する層は競技への参加をメインで考えているだろうから装備が非常に本格的だ。
一番の特徴はその価格設定で競技装備をしないと損な設定となっている事だ(素晴らしい)。

「サトリア ネオ」のグレードと価格

  • type A ¥1,520,000(税抜) 標準車
  • type B ¥1,320,000(税抜) 標準車にCUSCO LSDが標準装備
  • type C ¥1,370,000(税抜) 標準車にCUSCO LSDとロールゲージ(セーフティ21 6点式2名乗車)
  • type D ¥1,420,000(税抜) 標準車にCUSCO LSDとロールゲージ(FIA規定ボルトオンタイプ2名乗車)

※ベースとなる車両はすべて同一

このクラス1.5L前後でのライバルはスイフトスポーツかDJデミオ15MBだろう。特に15MBは価格が安いので競合しそうだが「サトリア ネオ」のほうがかなり安い。

あと「サトリア ネオ」に必要なモノ

ラリーやジムカーナに参加しなくてもサーキット等で遊ぶ車としても面白いと思う。
なんせ86Racingよりも100万円以上安いのだ。

実際に使おうとすると「サトリア ネオ」には足回りとシート、それにブレーキを加えれば十分使えるようになると思う。
こうして見ると「サトリア ネオ」はなんと安く上がる車なのだろうと思う。際物(きわもの)をお探しならこういう選択肢もありだ。
「サトリア ネオ」のフロント画像
↑ 「サトリア ネオ」のフロント画像、車幅のため3ナンバー登録になるが貴重な1.6LのNAマシン、嫌みのないデザインでスッキリしている、全長は4m未満なので非常に小さい車だ、画像はキャロッセサイトより拝借

「サトリア ネオ」のリア画像
↑ 「サトリア ネオ」のリア画像、フロントに負けずリアも非常にスッキリしている、センター出しのマフラーがなかなか難い、この「サトリア ネオ」を製造するマレーシアのプロトンと言う会社はなんとロータスの親会社となるのだ、画像はキャロッセサイトより拝借

「サトリア ネオ」のインパネ画像
↑ 「サトリア ネオ」のインパネ画像、インパネ各部がえらくスッキリしたデザインだ、これはこれでなかなか良い、シフトレバーの根元に注目なかなか凝っている、ステアリングは真円で偏心も無いこのままで行けそう、サイドブレーキが面白い形状となっている意味があるのだろうか、画像はキャロッセサイトより拝借

「サトリア ネオ」のシート画像
↑ 「サトリア ネオ」のシート画像、この個体はFIA格式のロールケージが組まれた状態、普段乗りするにはむっちゃ邪魔だろう、たまにサーキットへ行く程度なら6点式のロールケージで良いだろう、画像はキャロッセサイトより拝借

「サトリア ネオ」の室内後部からの画像
↑ 「サトリア ネオ」の室内後部からの画像、リアハッチを開けて後ろから見るとこうなっている、この個体はFIA格式のロールケージが組まれれて2名乗車となっている、パーツ単体では5名乗車のロールケージもある、画像はキャロッセサイトより拝借

「サトリア ネオ」のエンジン画像
↑ 「サトリア ネオ」のエンジン画像、エンジンは1.6Lにしては大柄な印象を受ける、逆に丈夫なエンジンなのかもしれない、このエンジンは前方排気後方吸気となっている、エアインテークが非常に長いのが印象的泥等が入りにくいかも、エンジンルームのパーツを厳選していくと軽量化がかなりできそうだ、画像はキャロッセサイトより拝借

「サトリア ネオ」にはR3というモデルもある

競技車両ベース車としての日本に入ってきている「サトリア ネオ」も良いのだが、本国にはもう少しルックスを重視したR3というグレードもある。
このモデルはエアロが付いてアルミホイールを履いている。こちらのほうが一般受けするかもしれない。

ただ惜しい事にエンジンのチューニングは同一なのでパワーアップは必須だろう。
欲を言えばパワーウェイトレシオが7kg/PS台に乗ればスポーツ走行でも楽しい車になるだろうと思う。

本国のサトリアR3のフロント画像
↑ 本国のサトリアネオR3のフロント画像、なかなかカッコ良く仕上がっている、R3というネーミングが競技車両のカテゴリーを連想させる、エンジンを強化してこの外観の車両を安く入れてきたら面白いかもしれない、画像はメーカーサイトより拝借

本国のサトリアR3のリア画像
↑ 本国のサトリアネオR3のリア画像、高級感は無いが細かいところにこだわっているのが分かる、それにしても日本国内では3ドアハッチバックは死滅してしまったのが残念、画像はメーカーサイトより拝借

個人的には国産車だけをベースとしてモータースポーツベース車とするのは終わるのかもしれないと思っている。
輸入車がこうした形で安く手に入れる事が出来る時代がもっと一般的なことになりそうな気がするのだ。
いずれにしても、もうしばらく化石燃料でのモータースポーツを楽しみたいと思うのだった。

今回はこのへんで
では