今回はちょっと小難しい車の中の通信ネットワークのお話だ。
車内ネットワークは長らくCANバスが採用されてきた。
そのCANバスがここ何年かでイーサネットに置き換わるという動きを見せている。
さらにイーサネットの速度が飛躍的に上がろうとしているという現状がある。
速度が上がる事で車の中で何が実現できるのだろうか?
ちょっと近未来的なお話しだがどんどんIT化していく車の将来を占う上で非常に重要な事なのだ。
車内の通信は主にCANバスだったが通信の高速化は必須事項
CANバスはシリアル通信の1種で速度は規格上最高でも1Mbps程度の速度しか出ない。
同一CANバスに沢山の機器を接続するとそれに伴い速度も落ちていくという特性がある。
だから車の中には通信速度を保つために複数のCANバスが存在している。
しかし車内のインフォテイメントや安全装備、さらには将来的な自動運転を考えると明らかに通信速度が不足なのだ。
CANバスより高速な通信ネットワークを模索していたという事情がある。
車内の通信には通信速度という要件もあるが遅延時間という反応の速さも考慮する必要がある。
やっとこれがイーサネットで実現できるようになってきた。
それが車載イーサネットなのだ。
車にもイーサネットの実情
初めて100Mbpsのイーサネットを実際に車両に採用したのはBMWでカメラの動画データの伝送に使用した。
これはシールドなしツイストペアケーブル(UTP)を用いる100BASE-T1に準拠したモノだ。
ここで重要な事は物理線がシールド無しでツイストペア線という事だ。
ご存じの通り車に積み込まれたハーネス(電線)の長さと複雑さは重量増をもたらし車にとっては重要な問題となっている。
次にもうすぐ実現しそうなのが1Gbpsと言う規格となる。
もうすぐというのはその実現には1000BASE-T1という規格の決定を待つ必要があり2016年の前半を予定している。
1000BASE-T1は1対のツイストペア線となるところがミソなのだ。
家庭やオフィスで利用しているLANでは同じく1Gbpsの1000BASE-Tが使われている。
ココに利用されているケーブルは4対の心線を持つケーブルなのだ。
つまり速度は1Gbpsなのだがケーブルの心線が1対で済むという事だ。
これは軽量化とコストダウンを追求する車にとっては非常に大事な事となる。
イーサネットの速度が上がると何ができる?
管理人TomTomの家庭内LANはやっと1Gbpsにしたばかりだ。
この家庭内やオフィスでのLANと同じ速度が車の内部で出るネットワークを持つという事になる。
例えば家庭内にメディアサーバーを構築している方もいるだろう。
家庭内で動画が遅延せずストレス無しに見れる仕組みだ。
こうした事が車の内部で可能となる。例えば車の周辺を映し出すカメラ画像が考えられる。
さらには車の制御系にもイーサネットが採用されるようになるだろう。
↑ オープンアライアンステクノロジーによる車内ネットワークの利用方法、1対の心線のケーブルで1Gbpsの速度が実現出来たらこんなデータが遅延なくネットワーク上を走るでしょうという事の説明図、車自体の制御系にも車載イーサネットは採用が進むはずだ、EVや自動運転などとはイーサネットは相性が非常に良いのだ、画像はwww.opensig.orgより拝借
車用のファイアーウオールなんて出てくるかも!?
少し前からコネクティッドカーというネーミングでネット接続が可能な車も登場してきている。
車内ネットワークのイーサネット化に加えてネットに接続すると家庭やオフィスのネットワーク環境と変わりが無い。
車内はプライベートネットワーク、そしてインターネットの世界はグローバルネットワークという環境だ。
そのうちに車用の高性能ファイアーウオールなんて買い求めて標準のモノをグレードアップするような時代が来るかもしれない。
アッそうだ、車用のセキュリティーソフトも必要になるだろう。なんて時代が来そうだ。
今回はこのへんで
では