ちょっと真面目な車のIoTとビッグデータのお話し すでにコネクティッドカー化している車も多い!?

コネクティッドカーとは先日もトヨタの例を紹介したが通信によりデータセンターと繋がっている車を言う
車の様々な情報をデータセンターへどんどん送り込んでいる訳だ。
現代ではプライバシーとの関係が大いにあるのでどこまでがどうなのかという議論は大いにあると思うがこれによって実現できることも非常に多いのだ。
今回はそうした車とIoTとビッグデータの事を書いてみた。

日本におけるコネクティッドカーの例

日本ではコネクティッドカーと言えばトヨタの車だろう。
レクサスとトヨタの車にはDCM(Data Communication Module)と呼ばれる通信機器が装備できるようになっている。
このDCMはAUの3G回線で通信する事が可能だ。
レクサス車は全車DCMが標準装備だしトヨタ車もオプションでDCMが装備できる車種がある。
このトヨタ車でのDCM利用のコネクティッドカーの用途は前述の記事を参考にして欲しい

トヨタのT-Connectのイメージ

このトヨタの例では通信を利用したユーザーに対して次のような機能を実現している。

音声対話サービス
先読み情報案内サービス
ナビ専用アプリ
マップオンデマンド
オペレーターサービス
ヘルプネット
マイカーセキュリティー
Tルート検索(プローブ)
ESPO(エコドライブのサポート)
リモートメンテナンス
ロードアシスト
ネット予約(車検等)
ドライブプラン(PCやスマホとの連動)

コネクティッドカーと言えばユーザーにとって有益な情報をセンターから取得したり逆にユーザーの状態をセンターに知らせて状況に応じたサービスを受けるという事が一般的だ。
ユーザーにとって有益であればコネクティッドに関わるコストもユーザーからある程度期待できるので吸収しやすい。

ちなみにトヨタのDCM搭載の車は累計330万台、2013年時点で70万台が通信可能な状態にあるという数値が出ている。

管理人TomTomが思うにコネクティッドカーの第一段階がトヨタの実現しているようなユーザーにとって有益な状態だろう。
では次に控えているのはどのようなサービスなのだろうか。

プジョーでのコネクティッドカーの例

プジョーの車にもこうした通信機が内蔵されていてGSMネットワーク(携帯電話網の通信方式のひとつ)による通信を行っている。
プジョーではこれをPeugeot Connectと呼び利用しているプロトコルはMQTTというモノだ。
その機能を簡単に書き出すと次のような機能がある。

プジョーの提供するプジョーコネクト

Peugeot Connectのサービスと現状

Peugeot Connect SOS(事故時緊急通報等)
Peugeot Connect Assistance(サポートセンターとの接続)
Peugeot Connect Apps(アプリケーション)
Mirror Screen(スマートフォンとの連動)
Scan MyPeugeot(車の位置情報)
Link MyPeugeot(各種情報)

ここでプジョーが強調するのが「Your geotagged vehicle」というキーワードで車の位置情報なのだ。
ヨーロッパではプジョーの提供するPeugeot Connectというサービスに100万台以上が接続されている。

Peugeot Connectの舞台裏

このPeugeot Connectは実はIBMとの協業で成り立っている。
プジョーの車には上記のような仕組みが搭載されていてGPSによる位置情報が刻々とセンターに集積される。
このセンターと解析技術を提供しているのがIBMということだ。
どのタイミングで車が位置情報を取得し送信しているかは不明だが文字通り「Your geotagged vehicle」なのだ。

こうして収集された情報はある一定の枠の中で自由にアクセスできるようになっている。
全くオープンに提供されるわけではないがある意味プローブ情報的な性格を持ったデータとなっているようだ。

これらを解析する事で新たなサービスを開発したりビジネスを組み立てるという事に利用しようという事だろう。
これって結局はGoogle Mapの渋滞情報(プローブ情報)と同じ事だ

日本でもこうした通信で収集したプローブ情報ならホンダのインターナビとかパイオニアのスマートループ等の例がある。

コネクティッドカーの目的はなんだ?

こうして考えてみるとコネクティッドカーの目的はなんだろうか?
最近では一般的にはユーザーが非常に便利になると説明されているが実はこうした事はオマケに過ぎないのではないかと思える。

つまりGoogle Mapと同様のプローブ情報を集めてそれを利用するプラットフォーム化が進んでいるのだ。
そしてこの情報を有用に利用する事により様々なビジネスモデルを構築する。
という事が目的なのだ。

もちろんトヨタにしてもプジョーにしても車の持ち主やドライバーにとって有益な情報やサービスとする事は最優先の事だ。
さらにこれらの先にビッグデータという仕掛けが用意されていて膨大な情報を蓄積する事により新たなサービスの可能性を目指している。

データを収集した段階ではデータの集まりにすぎないが解析を行う事によりそれはコンテンツになる。
そう、これからは車もコンテンツの時代なのだ。

コネクティッドカーとはユーザーの利便性も図りつつ、膨大なデータを蓄積し解析する事により新たなコンテンツを提供するプラットフォームであるという事が言えるだろう。

現在流行のIoTも同じ考え方 コンテンツビジネスなのだ

管理人TomTomは過去にM2Mの世界にはドップリとハマっていたのだが現在話題のIoTには違和感を持っていた。
それはIoT自体が遠隔地の機械を計測監視するという事が目的ではないからだ。
IoT自体は上記で紹介したコネクティッドカーのようにある意味コンテンツビジネスであり今までのM2Mの世界とは異質なものだ。
今までのM2MはIoTを構成する1つの技術要素に過ぎない。

IoTは車のように世界中でたくさんの台数が出回っていて様々なセンシングが出来るようなモノがその対象になる。
スマートフォンもIoTの一種と考えると最初から通信回線を持っているのでコレが非常に実現しやすかったという訳だ。
例えばここから個々のスマートフォンの位置情報が集められてGoogle mapの渋滞表示がされているという訳だ。
さらにスマートフォンから位置情報以外の情報を引き出そうと各社が必死になっている。
だからインストールしたアプリが必要も無い部分にアクセスしたがるのだ。

次に車については位置情報だけでは無く膨大なセンシング情報を持っている。
これはスマートフォンとは比較にならない情報量だと思う。
これらのセンシング情報を車の開発に利用したらあっという間に有用なデータが集まるだろう。
それに自動車メーカーが設計時に想定しなかったユーザーの利用方法も収集できるに違いない。
こうした事は車自体の発展にはこれから欠かせない事になっていくだろう。

だがこれらの情報はプライバシーとは相反する情報でもある。
ここらへんをうまく共存できることが今後の課題となるだろうと思う。
なんせ車は自由だ。
そこへでも道路がある限り行くことができる。
それが本来の車のあり方だろうと思う。
その中には困った事に記録して欲しくない行く先も含まれている事だろう。

今回はこのへんで
では