日産ノートe-POWERに思う 決して新しい技術ではないが新しいモノ好きな日本人に刺さるマーケティング

日産のノートe-POWERがたいへん人気のようだ。
それは日産の国内マーケティングの勝利でもある。
新しいモノ好きな日本人に刺さったマーケティングと価格で月間販売台数の1位を取った。
内容としては決して新しいモノではないがこうやって刺さるまとめ方をした日産に他の自動車メーカーは1本取られたという形だろうか。

北米仕様のノート、フロント画像
画像は北米仕様の日産ノート

ベースのノートはよくできたコンパクトカー

元々ベースとなっているノートはよくできたコンパクトカーだ。
現に管理人TomTomの周りでもノートの乗っている人が結構いる。
日常使用にちょうどよいサイズで取り回しが楽な日産のコンパクトカーの代表選手でもある。

ノートというネーミングが良い

管理人TomTomはノートというネーミングも良いと思っている。
ノートってやはり文具のノートを連想する。
少しだけインテリジェントというか走るだけじゃなくってお勉強もするんですよという賢い印象を受けるネーミングだ。

寂しい日産のコンパクトカー事情

ただ日産の現在のラインアップを見てコンパクトカーの選択肢が少ないということもある。
マーチは先代までは良かったが現行モデルになってデザインがイマイチだ。
現時点で次のマーチがすでに発表されているがサイズが大きくなり日本のマーチ感からは外れる
日産にはキューブもあるがいかんせんデザインが随分と古くなった印象だ。
決して悪い車ではないのだが古臭い感があるのは否めない。
実質、軽自動車を除くと現在の日産にはこれだけしか5ナンバーのコンパクトカーのラインアップがないのが実態だ。

20170125現在の日産コンパクトカーラインアップ

日産全体としては業績は非常に好調だがお膝元の日本では散発的な感じがしてやっつけ感が強い。

ノートe-POWERのマーケティングは素晴らしい

ノートは販売台数で瞬間的に月間販売台数が1位となったが最近なかったことで素晴らしいと思う。
ノートの販売台数に占めるe-POWERはおおむね70%~80%ではっきりとe-POWER効果なのだ。
それだけ人々がe-POWERに飛びついたという事なのだ。

日本人好きする新しいモノ感

ノートe-POWERのマーケティングは少々ずるいところもあるが日本人の新しいモノ好きに刺さったと思う。
車の分野でこうした新しいモノ感を演出したのは何と言ってもプリウスだろう。
平均的な日本人が手の届く範囲でこうした新しいモノ感を創出したプリウスだった。
プリウスに乗っている人はどれだけ燃費を伸ばせるかなんて競っている人も多いだろうと思う。
最近ではこうしたプリウスの新しいモノ感も薄れてきて、いわばポストプリウスが存在しなかったというわけだ。
そこにノートe-POWERが登場して平均的な日本人の新しいモノ好き感をくすぐったということだと思っている。
管理人TomTomもノートe-POWERが出た時にはこれはなんだと大変興味を持って見たのだった。

ちょとズルもあるノートe-POWERのマーケティング

燃費数値が販売に大いに影響をあたえるのは現代の常識だ。
ノートe-POWERも燃費スペシャルのSグレードで37.2km/Lを掲げたのは一般の人には効果的だったのかもしれない。
だたSグレードというのは全くお話にならない燃費スペシャルだ。
こうした数値を演出する際に燃費スペシャルモデルというのは最近では当たり前になっている。
だがノートe-POWERの場合はエアコンすら付いていないという実質日本では販売できそうにないモデルとなっている。
これはちょっとズルいではないか。
こうした反応は覚悟の上でそれだけ日産が必死で考えたという事だ。

2017日産ノートe-POWERの燃費スペシャルSモデル

ノートe-POWERのキャッチもうまい

ノートe-POWERのキャッチは「充電を気にせず、どこまでも走れる。電気自動車のまったく新しいカタチです。」なのだ。
確かにEVであるリーフは航続距離と充電場所、それに充電にかかる時間がネックとなっているのは事実だろう。
それを日産自身が認めた上でHVではなくEVですよとうたっている。
これは解釈の問題だが実質はHVの形式が異なるくらいで既存のHVとは変わりない。
でもこのキャッチはなかなかささるキャッチなのでは無いだろうか。
管理人TomTomもこのキャッチにドキッとしたのだった。

ノートe-POWERは既存技術の組み合わせ

ご存知の通りノートe-POWERの技術は既存の組み合わせとなっている。
どちらかと言うとこれだけの要素技術を持っていたというのが日産のある意味凄いところだと思う。

ベース車のノートの存在

元々ノートというコンパクトカーはスーパーチャージャーを積んだりして面白い車なのだ。
だがそれではユーザーはなかなか反応しなかったというのが正直なところだろう。
ノートはコンパクトで使いやすいボディーに実用的なエンジンを積み特徴のない車となっていた。
しかしデザインはスッキリとしてコンパクトカーらしくクリーンなイメージを持っているのは確かだ。

日産ノート「NISMO S」のリア画像

駆動用モーターはリーフから流用

やはり日産にとってEVであるリーフの存在は大きい。
リーフのパーツや方式があるからこそノートe-POWERがこれだけ低コストで作ることができた。

「充電を気にせず、どこまでも走れる。電気自動車のまったく新しいカタチです。」

やはりここでもリーフとの対比が際立つのは面白い。

2017日産リーフ、国内向け

シリーズハイブリッドは他社ですでにある

ノートe-POWERのハイブリッドシステムは一般的にシリーズハイブリッド方式と呼ばれている。
これはエンジンを発電に専念させるというところが特徴となっている。
こうした例はすでにたくさんあるがシリーズハイブリッドである事のメリットを完全に打ち出せないというもどかしい事情もある。
というのは燃費がそれほど伸びない方式なのだ。
特に高速道路のような速度域ではモーターで走るには効率が悪くなって燃費が落ちる。
ノートe-POWERで惜しいのは既存のエンジンを使ったことだ。
エンジンの機能を発電専用とするならば今までのモノではなく専用のエンジンを奢ったら良かったと思う。
そうすれば騒音の問題とか解決できることも多かっただろう。
個人的には三菱のアウトランダーPHEVが登場した時はちょっと衝撃的だった

ワンペダルドライビングも他社ですでにある

これもBMWのi3で登場した新しいドライビングの概念というか方式だ。
アクセルペダルを離すと回生が効き強い減速Gが発生する。
これで条件が揃えば交差点等での停止までまかなってしまうという事ができる。
回生の強弱は走行モードにより決まるので自分の運転しやすいモードを選択すれば良い。

こうして見るとノートe-POWERはマーケティングもうまいが既存技術の組み合わせも上手くまとめているのがよく分かる。

ノートe-POWERはEVではなくHV

日産のキャッチ
「充電を気にせず、どこまでも走れる。電気自動車のまったく新しいカタチです。」
は充電しなくても良いEVという表現だがノートe-POWERはれっきとしたHVだ。

ノートe-POWERに充電機能がついていたら良かったのに

管理人TomTomが思うにノートe-POWERに充電機能がついていればさらに良かったと思う。
だがこれにはバッテリ容量とコストの問題があり難しいということなのだろう。
充電できるPHEVは現在の水準ではかなり高額となってしまう。
だからこの価格帯で充電できるコンパクトカーがあればきっと爆発的に売れるに違いない。

PalermoでのZOEカーシェアリングその1充電しているところ
同じグループのルノーZOE こちらは完全なEV

いずれは乗用車は完全にEVへ移行するだろうが当面先だ

世の中の流れとしていずれは乗用車はEVへ移行することになるだろう。
だが現在ではガソリンに依存しまくっている生活だし、EVの車両価格自体が高価だし、EVの航続距離自体が短すぎる。
また充電する場所があっても時間がかかるのがあかん。
道具としての自動車は安くて早くて手軽でないといけない。

EV普及までのつなぎはPHV

ではEVへ移行するまではどんな感じなのか。
それはPHVが間を埋めることになる。
それによりガソリンの消費量が徐々に少なくなり、家庭にも充電コンセントを設置することが多くなるだろう。
ショッピングセンターや公共施設にはさらに充電設備が増設されてくるだろう。
決めてはやはりその充電時間だろうと思う。
現在のように何時間とは言わないが何十分も待つのはあり得ない。

最近の日産の日本国内への対応

最近の日産の日本国内への対応を見ていると少し残念だ。
北米等の文字とおりドル箱市場へ向いているのがはっきりと分かる。

最近やっと日本国内へも目が向き始めた日産

営利企業である以上しょうがないことではあるが日本国内のユーザーにとって明らかに手抜きと映ってはダメだろう。
最近の日産の動きを見ているとまだ中途半端ではあるが少しだけ国内市場も気にし始めたという印象がある。

まだまだ面白くない日産

ノートe-POWERは久々に日産で面白そうと思った車だ。
その他には半自動運転のプロパイロットなんかも興味を持った人は多いのではないかと思う。
だがこれ以外に面白そうなモノがないというのが現状だろう。

日産の古い車は大人気

以前に紹介した「FUGU Z」Z30フェアレディZ箱スカスカイラインといった日産のノスタルジックカーは日本はもとより世界中でも大人気だ。
こうした現在の状況をもっとうまく利用すべきだと思うのだ。

GLION MUSEUMの屋外にあるスカイラインその1

日本では日産に元気がないとなんだか寂しい。
日産が再生する時代は終わり、これからは面白い車を提供する時代ではないのかと思うのだ。

今回はこのへんで
では