2ペダル車のマニュアルシフトに思う パドルがベストな方法なのか?

2ペダルでスポーティーな車はパドルシフトを装備している。
いや現代ではパドルシフトが付いているからスポーティーなのかもしれない。
管理人はパドルシフトが登場し始めた頃にどうしてもコレを使ってドライビングしてみたかった。
でも実際ドライビングしてみると良い点と悪い点が同居していてケースバイケースだと思ったのだった。
比較的ゆっくりとシフトできるフィールドだとパドルは生きてくるが反対だとダメなのだ。
ではどういったシフトの方式がベストなのか考えてみた。

2ペダルのミッションとマニュアルシフト方法

2ペダルの車はおおむね2つに分類されると思う。
マニュアルシフトできる車と出来ない車だ。
ここではマニュアルシフトできる2ペダルのミッションを考えてみる。

2ペダルのミッション

2ペダル車のミッションはイロイロある、現在なら次の種類があるだろう。

  • 通常のトルコンAT
  • DCT(ダブルクラッチトランスミッション)
  • CVT
  • AGSを始めとするMTベースのモノ

下の画像はVWゴルフ5GTIのコックピット、6速のDCTを装備しパドルシフトが備わる2ペダルだ。

VWゴルフ5GTIのコックピット

マニュアルシフトの方式

マニュアルシフトができるATは大昔からあった。
そのシフト方法は通常のATシフトレバーでD-2-1という選択ができた。
だが昔のこうしたATのマニュアルシフトはスポーツ走行を前提としたものではなかった。
下り坂でエンジンブレーキを効かすとかという目的だったのだ。

2ペダルのマニュアルシフト方法とパドル

管理人TomTomが覚えている限りパドルで変速が可能かつシフトダウンの際にブリッピングができたのはアルファロメオのセレスピードではないかと思う(自信ないが)。

初期の頃のパドルシフト

セレスピードと同時期にはシトロエンのセンソドライブという同様のミッションがあった。
これらはロボタイズドマニュアルミッションと言われてMTを機械的に自動で変速していた。
つまり機械が人間の代わりにクラッチを切りミッションを変速、そして再度クラッチを繋ぐという動きをしていた。
現在でもスズキのAGSがこのタイプだが制御が非常に進歩してスポーツ走行を十分楽しめる。
これらが登場したときにはなかなか画期的でパドルでのシフトダウンが楽しかった。
意味なくシフトダウンしてその音を楽しんでいた。

パドルはどのミッションとでも組み合わせが可能

ご存知のようにこういったミッションは電子制御となっていてシフトレバーは機械的なものではなく電気的なスイッチにすぎない。
スイッチなので形状は自由自在にできる。
パドル型でもスイッチでもシフトレバーでもなんでも作れるのだ。
だから少し前まではパドルの形状についても様々な形があった。

下の画像はシトロエンC2のシフトレバー部、機械的なものではなくスイッチであることがよく分かる。
ただこの車にシフトレバーはマニュアルシフトの際、押してシフトアップ、引いてシフトダウンだったので感覚とは反対だった。

シトロエンC2のシフトレバー部、機械的なものではなくスイッチであることがよく分かる

ステアリングとパドル

ステアリングにパドルやスイッチを組み込んでマニュアルシフトしようという試みはたくさんあった。
現在ではステアリングに装着されたパドルは左がシフトダウン、右がシフトアップとなっているのが普通だ。
それ以前は試行錯誤の時期で様々な形状があった。
あのポルシェでさえステアリングに装着したPDKのスイッチは現在のパドル形状ではなかった。

ステアリングに付けられたパドルが雰囲気だが

みなさんもそうだろうが管理人TomTomもステアリングに付けられたパドルは気分が高揚する。
走って楽しいという雰囲気をパドルが作り出すのだ。
これはなぜだか分からないが一番人間の感性にあっているのだろうと思う。

パドルが最善なのか?

だがパドルが変速の手段としては最高の方式なのかどうかは分からないと思う。
現にWRCではパドルのように見えるが押してシフトダウン、引っ張ってシフトアップという右手だけのモノになっている。
ここで重要なのはWRCで使われているシフトのためのデバイスは固定式ということだ。

固定されたパドル?

シフトのためのデバイスが固定されているということはステアリングを回しても同じ場所にあるということだ。
特にラリーのようにステアリングをクリクリとたくさん回す時には固定されていることが重要なのだ。
つまりクリクリとステアリングを回している時にシフトをしようとしてデバイスを探してしまうということになる。
それを回避するためにいつも同じ場所にあるデバイスを使う。
管理人TomTomもステアリングについて回るパドルよりもこの方式がベターだと思う。

下の画像はVWのポロWRCに装着されたシフトスイッチ、押してシフトダウン引いてシフトアップとなっている。
これはパドルというよりもシフトレバーの変形と考えたほうが良いだろう。
場所は固定されていていつもココにあるのが重要。
画像は volkswagen-motorsport.com より拝借

VWのWRCポロのシフトデバイス

パドルのいろいろ

ここでパドルと呼べるかどうかわからないがステアリングに装着されたシフトのためのデバイスを見てみよう。

シトロエンC2

管理人TomTomが乗っていたシトロエンC2は一般的なパドルを装着していた。
前述のようにミッションはシングルクラッチのロボタイズドMTだったがキチンとブリッピングを行い楽しかった。
気分的にはWRCだった。
もちろんシフトレバー自体でも前後に動かせばマニュアルシフトが可能だった。

下の画像はシトロエンC2のパドル、センソドライブと呼ばれていた。
ステアリングの左がシフトダウン、右がシフトアップだった。
ミッションはシングルクラッチだがシフトダウンの際には盛大にブリッピングをして気持ちのよいものだった。
ステアリングコラム上の赤く点灯したLEDのボックスは後付のシフトインジゲーター。

シトロエンC2のパドル、センソドライブと呼ばれていた

マツダNCロードスター

NCロードスターのパドルは特殊でパドル部を引いてシフトアップ、上部のスイッチがシフトダウンだった。
このNCロードスターはサーキットにも持ち込んでみたがまるで操作できずパドルは断念してシフトレバーで操作していた。
走っている時に親指でシフトダウンボタンを押せなかったからだ。
せっかくオプションで大枚はたいて装着したのに無駄だった。
ここで問題だったのは親指で押し込むタイプのスイッチは操作しにくいということだ。

下の画像はNCロードスターのパドル、最悪の操作性だった。
当然だがステアリングに取り付けられているために回すと操作が全くできない。
それもシフトダウンが親指でプッシュなので最悪だった。
結局使わずじまいだった。

NCロードスターのパドル、最悪の操作性だった

VWゴルフ5GTI

VWゴルフ5GTIのパドルは操作方式は一般的な左がシフトダウン、右がシフトアップだった。
だが一般的なパドル形状ではなくスイッチのような形状だった。
だが特に操作しにくいというわけでもなくストロークが短くてある意味精緻な感じのするものだった。

下の画像はVWゴルフ5のパドル、一応パドルだが必要最小限の大きさだった。
だが操作は問題なくできた。

VWゴルフ5のパドルは小さくてスイッチそのもの

VWゴルフ5のパドルは横から見るとスイッチそのもの。

VWゴルフ5のパドルは横から見るとスイッチそのもの

シフトはどんな形状がベストなのか?

最近ではステアリングに装着されたパドルが一般的になった。
だが管理人TomTomは走るフィールドによるがステアリングと共に動く可動式のパドルは操作しにくいと思う。

ステアリングをクリクリ回さないフィールド

例えばワインディングでもRの大きい高速コーナーが続くようなところや高速道路であればステアリングと共に動くパドルでも良いだろう。
つまりステアリングを持ち替えないでいつも同じ場所を掴んでいるときにはパドルは有効だ。
こうしたシュチエーションならパドルを探さなくても良いからだ。

ステアリリングをクリクリ回すフィールド

管理人TomTomの好きな比較的タイトなコーナーの続くワインディングではステアリングと共に動くパドルはダメだ。
ステアリングを持ち替えた際にシフトする必要が生じた時にどこにパドルがあるのか分からなくなる。
こうしたフィールドではシフトデバイスは一定の位置にないといけない。
だからWRCマシンはああいった形状なのだ。

管理人の思う理想のシフトデバイス

市販車という前提で考えてみる。
WRCで一時期使っていたスティック形状の棒のようなシフトレバーがベストだと思う。
ということは現状の市販車のATシフトレバーでシフトアップとダウンができれば良い。
操作の方向としては進行方向に押してシフトダウン、引いてシフトアップならベストだ。

下の画像はWRCヤリスのコックピット、2016年の大阪オートメッセの時の画像。
この2016年の時点ではステアリングのパドル形状ではなく、銀色のシフトレバー形状のシフトデバイスとなっている。
市販車の2ペダル車でもこうした位置にシーケンシャルシフトレバーがあれば楽しいのにと思う。
その後ろの赤いレバーはサイドブレーキ。

WRCヤリスのコックピット

パドルでもステアリングと共に動かない固定式のパドルなら良いと思う。
以前はこうした固定式のパドルもあったのだが現在では絶滅してしまったようだ。
市販車ではなかなかベストな形状のシフトデバイスは出てこない。

今回はこのへんで
では