いまどきのコンパクトスポーツって1000cc+ターボの時代 実は時代は繰り返すってことだ

先日、新型スイフトRStに試乗したことを書いた
コンパクトスポーツって昔は1600ccのNA、通称テンロクってのが中心だった。
それが時代が変わるにつれ1500ccのNAになり、さらに1000ccのターボになりつつある。
だが大昔には1000cc前後のターボ車は結構過激なモデルがあったのだ。
すごくピーキーなやつがゴロゴロしていたのだ。
ということでコンパクトスポーツの昔とこれからを書いてみた。

下の画像はトヨタ博物館の1967年式トヨタGT、この車も1600ccだ。
トヨタ1600GT、コロナがベースの古き良き時代の熱い車、この車も1600ccだ

テンロクというのは1つの区切りで懐かしい

管理人TomTomの世代ではテンロクつまり1600ccの車というのはなんだか特別な響きがある。
どこから始まったのか分からないが小排気量のコンパクトスポーツは1600ccだったのだ。
そんなテンロクを思い返してみると懐かしさがこみ上げてくる。
管理人TomTomの車遍歴はこちらを見ていただきたい

トヨタカローラレビン/スプリンタートレノ TE27

思い出してみるとテンロクの記憶は2T-G+ソレックスというところだろうか?
さすがにTE27(1972年発売)については詳しくは知らないのだが子供の頃に走り回っていたTE27を見かけた記憶がある。
何と言ってもTE27の特徴はオーバーフェンダーだろう。
この時代はオーバーフェンダーが流行った時代だったのだ。
リベット留めでなんともスパルタンな雰囲気が出ていた(ボディーもグリーンやオレンジだった)。
こういった車は現代では皆無だ、もし新車のようなコンディションで手に入るなら興味津々なのだ。

これがソレックスキャブレター、ファンネル装着状態、ガバっとアクセルを開けた時のツキはピカイチだった、加速ポンプが働くと気持のよい加速ができた、画像はネット上から拝借

トヨタカローラレビン/スプリンタートレノ TE47

この時代になると周りの友人がTE47に乗っていて横に乗せてもらったりしたものだ。
古き良き時代だった、この頃は「ソレ+タコ+デュアル」が合言葉だった。
ソレはソレックスキャブレター、タコはタコ足(エグゾーストマニーホールドのこと)、デュアルはデュアルマフラーという当時の車の三種の神器があったのだ。
ソレックスの代わりにウェーバーというキャブレータも有名だった。
デュアルマフラーは車によって効果があるかどうかが変わるので必ずしもというわけではなかった。
TE47(1974年発売)の場合は2T-GのテンロクNAエンジンにデュアルはほとんど無かったがデュアル以外はチューニングの入門編というところだったのだ。
この後に排ガス規制に突入してしばらくは気持ちのよい車は無かった。

TE47トレノ

トヨタカローラレビン/スプリンタートレノ TE71

この後カローラレビン/スプリンタートレノにはTE61やTE65というEFIが装着されたモデルがあったが全く面白くなかった。
しかしこの時期はEFIは少しづつ熟成されて普通になっていたのだ。
管理人TomTomがラリーを始めるきっかけになったTE71カローラGTはこの時期の車だ。
4枚ドアのラリー仕様車を中古で手に入れて苦労もあったが楽しく乗っていたものだ。
TE71(1979年発売)は2T-GEUというEFI化されたエンジンになっていて2T-Gエンジンの最終モデルとなってしまった。
この後出てきた同じテンロクの4A-GEの小ささにはビックリしたものだ。
この頃管理人TomTomはもう少し小さくて軽い車が欲しくなりKP61スターレットに乗り換えた。

2TG:トヨタの1.6LのDOHCエンジンの名器、左はTE47に積まれていた純正ソレックスキャブレター付きの2TG、右はそのすぐ後にEFI化された2TGでパンチが無くなってしまった、画像はネット上から拝借

トヨタカローラレビン/スプリンタートレノ AE86

この頃の管理人TomTomはラリー全盛期で週末ともなると山にこもって練習に明け暮れた。
さらに実戦への参加も積極的に行っていた時期だ。
管理人TomTomの周りの仲間達はこぞってAE86(1983年発売)に乗り換えていったものだ。
この後管理人TomTomはKP61からEP71スターレットに乗り換えた。
今で言うダウンサイジングをしたのだった。
AE86にしてもEP71にしてもこの頃からエンジン自体に余裕がなくなりシリンダー間の間隔がギリギリになっていた。
当時よく使われていたNAのチューニングの手法であるボアアップが簡単には行かなくなってきたのだった。
それにノーマルでも軽く回るようになったのはこの頃からだと記憶している。
ノーマルエンジンなのに回転フィールが非常によくてそれを高回転まで維持した。

イニシャルDのAE86

その後管理人は国産テンロクには縁がなかった

AE86の後はAE91になりFF化されて管理人TomTomはすでに4WDやワンボックスに乗り換えてコンパクトスポーツには縁がなかった。
しかしプジョー205なんかは当時大変気になった車でありカッコよかった。
この車はフランスの車だが面白いことにテンロクだ。
コンパクトスポーツは世界的にテンロクなのだろうか?

1990年台から2000にかけてはホンダのType-Rが台頭

AE86の次の世代でのテンロクといえばEK9を源流とするホンダ一連のType-Rシリーズだろう。

不朽の名作EK9

EK9は本当によくできた車で今でも熱烈なファンが沢山存在する。
管理人の友人でも未だにEK9に乗り続けている人たち(複数)がいる。
軽くてパワフルなエンジン、そこそこの剛性があるボディー、FFであるがゆえのドライビングの安心感といったところが特徴だろうか。
なかなかこうしたベストな組み合わせの車は出てこない。
しかしながらテンロクで出たのは最初のEK9のみで次のDC2は1800ccになりDC5では2000ccとなってしまったのだ。
そういう意味では2000年以降はテンロクが不作の年代となる。

EK9に15インチのRC-T4を装着したところ

テンロク復活のスイフトスポーツだがちょっと物足りない

2005年にZC31スイフトスポーツ(2005年発売)が発売になり素晴らしいボディー剛性と適度な動力性能のバランスが話題になった。
かくいう管理人TomTomもZC31の1型に乗っていたがボディーのできは素晴らしかった。
反面エンジンはパワフルでもなく回りたがる性格でもなく中途半端だったが総合的に楽しく走れる車だった。
これはエンジンがそれほどパワフルではなかったことに尽きる。
排ガス規制や燃費向上が自動車メーカーの生き残り戦略となってきただけに外せない性能となってきたからだ。
ある程度のこうした環境性能を満たさなければコンパクトカーとはいえコンパクトスポーツも生き残れなくなってきた。
この後継続路線のZC32スイフトスポーツにスイッチしたが大きな変化は無かった。

2007年管理人のZC31スイフトスポーツ、セントラルサーキット帰りに道草中

1500ccNAでは出色のホンダフィットRS

現代はコンパクトスポーツが貴重となってしまった。
小さくてパワフルで剛性感にあふれる車が悲しいことにないのだ。

132PSのテンゴ現る

そこにGKフィットが現れる。
このGKフィットのRSグレードが見ものだ。
1500ccのNAエンジンから132PSをレギュラーガソリンで絞り出したのだ。
現在のGKフィットはハイブリッドのミッションのリコールで非常にイメージが悪い。
間違っても中古車のGKフィットのハイブリッドモデルは買わないほうが良いだろう。
問題はハイブリッドだけなのだがフィット全体のイメージ低下にもつながってしまっているのが残念だ。

ホンダGKフィットRSのフロント画像

ハイオク仕様のGKフィットがあれば・・・

このGKフィットRSのエンジンをハイオクガソリン化してもう少しパワーを絞り出せないものだろうか。
1500ccのNAエンジンで150PSなんて夢のようだ。
すでに新型のフィットが控えているようなのでこうした事は無いだろうが小さなNA好きとしては出てほしいと思うのだ。
最近のホンダにはいつも感じるのだがスポーツモデルが高級クラスとして設定されている。
快適装備は最小限、走る装備は最大限という人は今時なかなかいないのであろうか。
管理人TomTom自身もそうだがRSを購入検討しようと思っても装備が高級であるため価格も高くて諦めてしまうことがあったのだ。
これはもったいないと思うしホンダのコンパクトスポーツに対する姿勢が出ていて大変残念だ。

気持ちのよいNAエンジンはなくなる運命

もう最近ではNAで気持ちのよい回転をするエンジンというのは出てくる見込みはないだろう。
出てくるエンジンはみなターボとなっている。
あのポルシェさえもがターボ化に踏み切ったことからこのことが非常に深刻なことになっていることが分かる。

小さなエンジン+ターボの時代が再来

ここ最近になってコンパクトカーのエンジンはターボ化が進んでいる。
なにもこれはコンパクトカーだけのお話しではなく全てのセグメントでの傾向だ。
ターボを付けないと排ガス規制に燃費規制がクリアできなくなってきている。

下はホンダのボンネビルスピード記録用のエンジンでS660のエンジンがベースだ。
やればできるやんって感じ。

ホンダのボンネビルスピード記録用エンジン、S660用がベース

今どきのターボエンジン

現在管理人TomTomが乗っているS660も小排気量+ターボの典型だが意外とエンジンのフィールは良い。
回転フィールだけはゴルフ5GTIピレリのTSGエンジンよりはよほど良い。
最近ではエンジンの回転フィールの味付けは自由自在ということなのだろうか。
S660に関してはもう少し高回転側の回転フィールがパワフルでスムーズだったら言うことなしだ。

小排気量ターボが続々

管理人TomTomがつい先日試乗してみた新型スイフトRStも1000ccターボだった。
試乗時にはエンジンはフルに回していないがその範囲内では回転フィールは良かった。
さらにコンパクトスポーツ感の演出が上手くてブロブロと排気音が少し聞こえて足回りも締まった感じで好感触だった。

ホンダのフィットについても2017年秋に新型が出てくるようだが1000ccターボとなる予想がされている。
ついに現行GKフィットのNA132PSは鳴かず飛ばずで終わってしまうのが少し悲しい。
だがホンダの場合は国内の販売を立て直す必要もあるために気合の入ったフィットを仕立ててくるだろうと思うのだ。
さらにスポーツに振った簡素なモデル構成にしてほしいものだ。
自分にとって不要な装備まで買うつもりはないのだ。

下の画像はホンダのVTECターボシリーズエンジンの1000cc版。
ホンダVTECターボ1.0Lエンジン

過去の小排気量ターボは過激だった

前置きが長くなったがやっと本題に入れる。
実は小排気量ターボエンジンというのは過去にも熱いエンジンや車が存在していたのだ。

今でも手に入る小排気量ターボの代表格ストーリアX4

当ブログを読んでいただいている方には分かるだろうがその代表がダイハツのストーリアX4あたりだと思う。
このエンジンは排気量713ccのターボで120PS/7,200rpmを叩き出していた。
その背景にあるのが当時の全日本ラリーだったのだ。
それはレギュレーションで1000cc以下のクラスにエントリー可能とするために排気量を713ccに設定したのだ。
現在のダイハツは全くこうした活動には興味が無いようで少々寂しい。
小さなクルマを作る自動車メーカーは時にこうした型破りなことでもやらないと全く面白くもないし新鮮味もない。

ストーリアX4

日産にもあった超過激なK10マーチのスーパーターボ

現在日産は国内では巻き返しに余念がない。
あまりにも日本国内の販売から手を抜きまくった結果が面白くない自動車メーカーの代表のようになってしまった。
ハイエンドの車たちはさすがに良いデキだがローエンドのコンパクトカーは全くつまらない車ばかりだ。
コンパクトカーで無難なモデルを選ぶならノートだろうがその他には全く選択肢もない。
現行マーチなんてまったくお話しにもならない車だと思うのだ。
そんな日産にもかつては過激な小排気量ターボがあった。
ネーミングからして過激にマーチ0.9Rという。
この車のエンジンは930ccからターボ+スーパーチャージャーで110馬力を誇っていたのだ

K10初代マーチのスーパーターボというモデル

ちょっとフランス車風のシャレード「1.0 GT ti」

現在はコンパクトカーで熱い車というと圧倒的にダイハツよりもスズキの勝ちだろう。
なんせスイフトのデキが良く実際に走って楽しいクルマの一つだと思う。
一方ダイハツには現在はそのような走って楽しいコンパクトカーがまったくないのだ。
1987年から1993年に製造されていたダイハツのシャレードには「1.0 GT ti」というグレードがあった。
この車は1.0Lターボから105psを発揮していたのだった。
管理人TomTomはこのシャレード「1.0 GT ti」という車のデザインが現在でも大変大好きだ。
こんな個性のあるデザインの車は現在作れそうもない。
実はこのエンジンは前身となるシャレード926ターボという車があるのだがコレはまた別の機会に書こうと思う。

ダイハツのシャレード GTti というグレード

時代は繰り返す小排気量ターボ

冒頭に書いたがスズキ新型スイフトRStの車全体のデキが良かった。
積んでいる1000ccターボエンジンのデキも非常に良かった。
エンジンパワーなどは昔の1000ccターボと同じようなものだが車全体の質感が非常に高いのにはびっくりした。
だが排気量を考えると価格はなかなか手ごわいのだった。

下はスズキ新型スイフトRStの1000ccターボエンジン、なかなか良いデキのエンジンだった。

新型スイフトRStの1000ccターボエンジン

少し前の小排気量ターボエンジンを積んだ車をいくつか紹介したが過激な時代だったと思う。
ほとんどは競技出場のために仕立てられた車たちだがやはり競技からフィードバックするモノは多いと思う。

やはり自動車を作る以上、自動車メーカーは自動車を使用した競技には参加すべきだ。
そしてその活動をユーザーに周知すべきだと思う。
その上で何らかの形で市販車にフィードバックするのがユーザーにとってはうれしいものだ。
自分の乗っている車がWRCで活躍していると思うとうれしくなる。

現在の日本の自動車メーカーで競技に参加してアピールしている会社のほうが少ない。
ましてコンパクトカーでこうした活動をしているところなんてトヨタのヤリスでWRCに参加しているくらいだろう。
高級な車や最初から速い車では宣伝効果が高いと思われているようだがコンパクトカーでも台数が出る分その効果は高いと思うのだ。
そこらじゅうを走り回っているコンパクトカーが競技で走っているところを見るのは楽しみだと思う。

あのポルシェでさえNAを捨ててターボを選択する時代だ。
これからは小排気量ターボは必然となり活性化してくるはずだ。
コンパクトカーでも楽しく走れる車がどんどん登場してくることを期待したい。

今回はこのへんで
では